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悪夢と現実2

[806]  hiro  2008-11-16投稿
僕は、家の玄関のドアを閉めて、朝の光を浴びながら、昨日の夢を思い出していた。
不気味な声に、恐ろしい夢を見る、と言われる夢を見て飛び起きた。
その後すぐに寝て、本当に恐ろしい夢を見た。今も鮮明に覚えている。
「そう言えば、あの悪夢も玄関のドアを閉めるところから始まったなぁ。」
確か、自分の家が突然火事になっていた、あの悪夢では。
まさかと思い家を見上げるが、火事にはなっていない。
家を出たら小さな道に出る。右か左か、どっちから行こうか。悪夢では右へ進んだ。だから僕は左へ進む。悪夢と同じことにはなりたくない。
まわりの目を気にしながら歩き続ける。あれを見られやしないだろうか。僕は裏ポケットの中の゛あれ゛を探り、そこにあることを確かめる。
そこで、携帯電話が鳴った。ズボンのポケットから取り出し、電話にでる。
絵美からだ。昨日の悪夢だったら、「別れよう。」と切り出されていたが、
「好きだよ〜。声を聞かせて〜。」
と、彼女が甘えてきた。適当に答えて、僕は電話を切った。
こんな事をしている場合ではない。これからひと仕事あるのだ。
白い太陽が眩しい。「やめておけ。」と僕に忠告していると言わんばかりに輝いている。悪夢では、土砂降りの雨だったのに。
まるで昨日の悪夢とは反対なことばかりが起こる。気のせいか?
しばらくして、目的地の家に着いた。絵美の母親の家だ。震えた手で、呼び出しボタンを押す。
確か、昨日の悪夢では、僕がこの辺で自殺をした。
火事になったり、彼女と別れたり、生きるのが辛くなったのだろう。
「またお前か。絵美ならお前なんかと結婚させんと言っとるじゃないか。」
僕の顔を見て、絵美の母親がいつものように言ってきた。歳にしては老けて見える。
僕は裏ポケットから銃を取り出して、自分ではなく、絵美の母親の頭に向けた。
「結婚を許さなかった罰だ。」
悪夢では自殺、今は殺人。まさに正反対なことが起きている。
絵美の母親は、最期に老婆のような声でこう言った。
「お前は今晩、夢を見る。恐ろしい夢だ。現実で、夢で見たことと全く同じことが起こる。」
明日僕は…。考えただけでゾッとする。
(ドスン!!)
「夢で……、全く……、起こる。」
不気味な声は、夢の彼方へ消えていった。
ー終わりー

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