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ループ(4)

[530]  まっすん  2008-11-20投稿
僕はその名前を聞かれた時に違和感を感じた。

確かに聞きなれた名前だが、20年間呼ばれ続けてきた程ではない。

何故だ?
この感覚は一体何だ。

有島健二。
漢字も浮かんでくるし、よく聞く名前だ。
でも何故か自分がそう呼ばれるのは初めての気がする。

やはりあまりのショックで頭がおかしくなってしまったのか。

取り調べが終わったら部屋でゆっくり休もう。

取り調べが終わり、僕は手錠をかけられた状態で部屋まで連れていかれた。

部屋といってもとても狭く、四人寝れるか寝れないかのスペースしかなく、床は畳で、壁は厚く冷たい。
廊下に面した部分は鉄格子に金網だ。

看守には、お茶の入ったコップと小さな籠を渡された。
どうやらこれに自分の荷物を入れておくみたいだ。

大きな荷物はまた別で、ロッカーに入れられる。

籠に入れるのは、便箋に封筒にボールペンや自弁品など。

僕の番号は、16番らしい。
16番又は有島と呼ばれたら返事をしなければならない。

一通り説明を受けてこれからの流れを確認した。
今日はもう洗面をして布団を敷いて寝るだけのようだ。

洗面所に行くと鏡があった。
あれ?僕の顔じゃない!

(つづく)

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