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奈央と出会えたから。<283>

[636]  麻呂  2008-11-25投稿

聖人が母にそう言うと、



母は、その言葉の意味を理解するのに少しの間、考え込んだ表情をしていたケド、



『‥‥‥そんなコトないわよ。

でも、聖人君のお父さん、凄くステキな方だと思うわよ。

いつも、職場の方達を連れて、お弁当を買いに来てくださるのよ。

聖人君、お父さんによろしくお伝えしてちょうだいね。』



あたし達の期待する答えは当然、返って来る筈もなく――



そう言って、うまくかわされてしまったんだ。



『はいはい。聖人君。朝ごはんしっかり食べていってよ〜〜!!

奈央。ちょっと手伝ってちょうだい。

先に、聖人君にコーヒー入れてあげて。』



『う‥‥うんっっ。』



お母さん――



昨夜も夜遅くにスナックの仕事から帰って来たのに、



あたし達の為に、



こんなに気を遣ってくれて、



ありがとう――



あたしの為だけではなく、



あたしの大好きなヒトの為にまで――



お母さん――



聖人のお父さんのコト、



どう思っているのかな――



聖人のお父さんは、


多分、お母さんに好意を持っているよね。



いつも“女”である前に、



“母”であってくれたお母さん。



あたしのコトを第一に考えてくれたお母さん。



そんなお母さんに、


あたしは、いつも感謝しているよ。



でも――



本当に心から好きなヒトに出会えたトキは――



そのトキは――



あたしに――



あたしに絶対言ってよね――



毎日本当にありがとう――



大好きな‥‥



お母さん‥‥‥。

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