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奈央と出会えたから。<288>

[498]  麻呂  2008-12-02投稿

青山さんと成沢さんが、そんな話題で盛り上がっているトキ、



あたしは、隣に立つユカに、目で訴えた。



あたしのせいで、ヘンなコトに巻き込んじゃって、ごめんねっ‥‥て。



ユカは、ニコッて微笑んでくれたケド、


内心は、決して穏やかじゃなかった筈。


だって、



これからこの人達に一体何をされるのかが分からない状況だし、



怖いのと、不安なのとで、お互いに顔が引きつってたと思うから。



『ケドさ、サオリ。
このコト、龍二先輩には絶対知られない様にしろよ。

アイツはドラッグ嫌ってるから、もしバレたら殺されるかも知んないじゃん?!』



『あははっっ。大丈夫だよ。あの男は、あたしに惚れてるからサ。

あたしの言うコトなら何だって聞いてくれるし。

ああいう強い男を側に置いておくと便利なのよね。

ボディガードみたいなもんよ。』



『ケッ。わりぃ女だねぇアンタも。

噂じゃ、龍二先輩が聖人先輩に、“俺の女に手を出すな”って、いきなり殴りかかったって話じゃん?!』



『あぁ。あたし最近、あの男に飽きちゃってサ。

追いかけられると逃げたくなんのよ。

分かる?!

今にあたし、聖人先輩を絶対おとしてみせるからね?!』



青山さんは得意気にそう言った。



じ‥冗談じゃないわよっっ。



聖人は、あたしのカレシだもん。



おとされてたまるもんですかっっ。





『さぁてと。本題に入りますかぁ?!』


青山さんは長い髪をかきあげ、



制服のスカートの内ポケットから、



メンソールの煙草の箱を取り出したかと思うと、



それを1本口にくわえた。



カチッ――



カレシの京谷さんから貰ったのだろうか。



女のコが持つにしてはシブ過ぎる、その純銀製のジッポーは、



その風合いから、程よく使い込まれているかと思われた。



煙草の煙を一息吐くと、



青山さんは、あたしとユカの方に向き直った。

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