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ブラッディ§レイン7

[493]  祐夜  2008-12-03投稿
アリスの涙は枯れ果てていた…もう声も出ない…疲れ果てている。
目の前に転がっているロミオの亡きがらに崩れ落ちた…そしてそっと…冷たくなっている彼の頬に触れながら…
「……ねぇ…ロミオ……どうして…?迎えに来てくれるって、言ったじゃない……なんでよ……なんでよ!?バカぁぁぁぁぁ!!!!」
アリスは精一杯の声を出して叫んだが…返事は返ってくるはずもなく夜の森にコダマする。
そしてアリスは昔、母と呼んでいた女ジェシカの事を思い出していた…
=アリスの回想=
「ママぁ…ママぁ…」
小さな女の子が泣いている。
そこは、恐らく研究所内に設置されている、人工的に作られた庭の様な所だった…陽射しは全く無いのに何故かほんのり明るく、そして暖かい場所だったのをしっかり覚えている…ちょうどその真ん中辺りで少女が母を探して泣いていた…
《あ……私だ……》
あの時何故泣いていたのかも覚えている…確かあの時は私が庭で遊んでいたら小さな虫を踏み付けて殺してしまったから泣いていたんだ…
ガチャッ!っと扉が開く音がした。
扉の向こうには白衣を着ていて眼鏡をしている女性が立っていた。
すると彼女は泣いている少女に向かって歩き出した、一歩また一歩と…
そして、少女の前で止まりゆっくりと屈んで…
「あら…?どうしたの…アリス??何を泣いているの??フフッ…」
彼女は笑顔で少女に優しく聞いた…
「…うぅぅ…ママぁ!!ママぁ!!!」
少女は必死に母に縋り付き泣いた…
「あらあら?どうしたの?何があったの…ママに教えて…アリス…」
縋り付く少女の頭を撫でながらもう一度聞いた。
「あのね…虫サンを踏み付けて殺しちゃったの…どーしようママ…」
小さな身体を震わしながら少女は母にそう告げる
「………………」
母は沈黙したまま、おもむろに白衣のポケットに手を突っ込んで、小さなナイフを取り出した。
少女は母の手にあるナイフを見つめて。
「!!…なんで…アリス悪い子だからお仕置きするの!? ママ!私もう泣かないから止めてよ!ママ!!」
少女は驚きの余り声が大きくなった。
しかし母はアリスの小さな手の甲を無言のまま刺した
「…っ!!ママ痛いよ!ママ!!」
「………少しだけ我慢しなさいアリス………」

〓第7話完〓

つづく…

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