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奈央と出会えたから。<289>

[532]  麻呂  2008-12-06投稿

『木下さん。あたしの忠告を無視して、聖人先輩と随分と仲良くしているみたいね?!

大人しそうな顔して、いい度胸してんじゃん?!

あたしをナメてんの?!』



青山さんは、煙草の煙を深く吸い込んだかと思うと、



その息を、至近距離からあたしの顔に吹きかけた。



『ゲホッ‥ゲホッ‥‥ゲホッ‥‥‥。』


思わずむせ返った。


『あっはっはっは。
期待どおりのリアクションしてくれるわねぇ?!木下さん。』



むせ返るあたしを見て、あざ笑いながら青山さんは、さらにこう続けた。



『木下さん。

あたし達と取引しない?!

実はあたし達、最近観葉植物に興味あってさ。

趣味でたくさん育ててるんだケド、

最近忙しくてサ。

それで、あなた達にその植物の世話を手伝ってもらいたいんだよね?!』



『観葉植物‥‥ですか?!』



意外だった。



このヒト達に、



そんな趣味があったなんてコトが。



『そう。この頼みを聞いてくれたら、今ここであんた達にヤキ入れてやろうと思ったコトを取り消すよ。さぁどうする?!』



青山さんの視線は、そらされるコトなく、



真っ直ぐあたし達に向けられていた。



分からない。



何故、青山さんは、この期に及んで、その観葉植物の世話を、あたしとユカに頼もうとするのだろう。



あたしは、青山さんの考えが全く読めなかった。



成沢さんは、だまって青山さんとあたし達のやりとりを見ていたケド、



急に何かを思い出した様に話し始めた。


『サオリ。マジで大丈夫かよ、その2人に頼んで。

もし“クサ”の世話をその2人に頼んだコトがバレたらヤバイよ。“カンベツ”か“ネンショ”行きだよ。』



さっきとは打って変わって、弱気なコトを言い出した成沢さんにイラついたのか、



青山さんは一瞬眉をひそめ、怪訝そうな顔をした。

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