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奈央と出会えたから。<293>

[539]  麻呂  2008-12-12投稿

そ‥そんな筈‥‥ないよね?!



あたしってば、ヤバイかも‥‥‥。



遂にミズホさんの幻まで見えてきちゃった。



『や‥山下先輩っっ!!お、お久しぶりですっっ!!』



背後から腕を鷲掴みにされたまま、



青山さんが、しどろもどろにミズホさんに挨拶をした。



『“お久しぶり”じゃねぇよっっ!!

青山てめぇ、あたしのダチに何しやがるんだよっっ?!』



ギリギリギリギリ――



背後から掴まれた青山さんの腕には、



更に力が加えられた。



『い、痛っ‥‥痛たっっ‥‥‥。

す‥‥済みませんっっ!!

山下先輩ごめんなさいっっ!!

まさか、木下さんが、山下先輩のお知り合いだとは知らなかったものでっっ!!』



青山さんの、



さっきまでの威勢の良さは、



まるで嘘の様で――


目に涙を浮かべて、怯えている姿からは、



誰が“番長”だと想像出来ただろうか――



『今度、あたしのダチに少しでも手ェ出して見ろ?!

こんな甘いモンじゃ済まないよ?!

分かったな?!青山?!』



ドカッッ――



ミズホさんに掴まれた腕は、



勢い良く振り下ろされ、



背中を足で蹴り上げられた青山さんは、


そのまま、ふらふらと床に崩れ落ちた。


成沢さんは、



その、あまりにも情けない番長の姿を、


ただ、だまって見ているコトしか出来ないでいた。



そして、



あたしとユカも。





『“成沢”っていったね?!

噂には聞いてるよ。
あんたが転校生だってコトも、

“クサ”の栽培の話を、この情けない番長に持ち掛けたってコトもね。』



『‥‥‥‥‥。』



『バックに誰がいるのか知らねぇケド、
あたしのダチを巻き込むのだけは、やめてくれ。

あたしが番長だったトキなら、こんなコト許さねぇ所だケド、

あたしはもう卒業しちまった身分だから、細かいコトは言うつもりはねぇ。

あんた達が“カンベツ”や“ネンショ”に入ろうが、あたしには関係ないコトだからね?!』

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