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天使の道(続)

[535]  ルカイ  2008-12-12投稿
「じゃあ、今、三日月を見ている君に一曲。」

「君ぃ〜と僕とぉ〜の間にぃ〜。」

哲の音痴な歌声が携帯電話を通って流れてくる。
歌っているのはZARDの永遠だ。

「永遠はみぃ〜え〜る〜のかなぁ〜。」

「見えねぇよ。」

私は二本目を吸っていた

「哲、お前、ご近所の迷惑考えろ。」

「つまんねぇの〜。」

「語尾をのばすな、語尾を。」

「みちるは明日仕事?」

「仕事だよ。」

空き缶に灰を落とす。

「年末はお互い忙しいな〜。」

「今の時代、仕事があるだけでもありがたいと思わなきゃね。」

哲にそう言い私は煙草を吸い続ける。

「暇人の忘年会、来れそうか?」

「今年は行けるよ。29日でしょ?」

「そうそ。」

「休み取ったから大丈夫。あんたは?」

「俺も行けるよ。」

煙草を空き缶に入れ蓋をする。

「あと一週間か。」

「真美も勇樹もくるぞ。今年はガンガン飲むから俺。」

「ガンガン飲んでゲロゲロはくんでしょ?」

「ゲロゲロはいらね−」

「まぁ、いいや。そろそろ切るよ。朝早いし、しばらくベランダにいたから体が冷えちゃったよ」

「俺があっためてあげ」
「バイバ〜イ。」
間髪入れず、電話を切って私は自分の部屋に戻った。机の上には家族の写真が一枚置いてある。
・・・・。
もうすぐ10周忌か。
私はかぶりを振って静かにベットの中に入るのだった。

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