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奈央と出会えたから。<295>

[571]  麻呂  2008-12-13投稿

信じられなかった――



目の前にいるヒトが、



本当にミズホさんだなんて――



少なくとも、



あたしの知ってるミズホさんは、



こんな乱暴な言葉を使ったりは、しないから――



『ちょっと待ってくださいよ山下先輩。
いつ、龍二に“クサ”の話をしたんですか。

あたし、龍二にだけは、絶対知られない様にしてたのに‥‥‥。』



『いつ???

今だよ。たった今。
あんたが奈央と秋田谷をここに連れて来るトキ、あたしはこっそり後ろからつけてたんだよ。

フフフ。

もちろん、ICレコーダーに、コトの一部始終を録音させてもらったわよ。』



ミズホさんの言葉に、



青山さんは、かなりのショックを受けた様だったケド、



それも束の間。



やがて、



ひとつの疑問を投げ掛けた。



『ケド、山下先輩。
そのICレコーダーが、たった今録音されたばかりなら、

どうやって龍二に渡したんですか?!』


少し得意気な顔で、


青山さんがムキになって言った。



『バカよねぇ‥‥あんた。

その前に、何で卒業した筈のあたしが、ここにいるのかという疑問が先に立つ筈でしょう?!』



な‥なるほどっっ。


そう言えば‥‥そうよね‥‥‥。



どうして、ミズホさんがここにいるんだろう???



ケド、



ここにいるのは、ミズホさんの幻ではないコトは確か。



『青山ァ‥‥。

聖人の存在を忘れてもらっちゃ困るわよ?!

奈央ちゃんの王子様♪

ねっ奈央ちゃん?!』



そう言って、



ミズホさんは、ニッコリあたしに微笑みかけてくれたケド、


微笑み返したあたしの頬の筋肉は、



絶対引きつってたと思う。



『じゃあ、聖人先輩も、山下先輩と一緒に、あたしと成沢をつけて、ここまで来たってコトですか?!』



青山さんは、少し取り乱していた。



その、



あまりにも巧妙なミズホさんと聖人のやり方に、



やはり、



動揺は、隠せなかったらしい。

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