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刹那に想うは君への言葉Vol.1

[444]  雷導一樹  2008-12-23投稿
その出会いは俺にとっては運命だったと言ってもいいだろう。

それが恋だと気付いたのはいつだったろうか?

彼女の事を知れば知るほど思いは強くなっていく。

しかし、それを悟られてはいけなかった。

誰にもばれてはいけなかったのだ。



「まもなく2番線に電車が参ります。白線の内側までお下がり下さい」

ホームに、聞きなれたアナウンスが流れると同時に、電車のブレーキ音が鳴り響く。

いつもと変わらないこの景色にも見慣れたもので、同じようにその扉から来るであろう人を待っていた。

人の流れの中でもその人は、目立っていた。

それは、格好が異様であるからでは決してない。

「お待たせ、待った?」

透き通った声が耳をくすぐる。

いつも言われている事だが、一向に慣れる気配さえ見せてくれない。

「いんや、そんなに待ってないよ」

いつもと同じ返事を返すと何故だか無言のままこちらを見つめている。

「・・・」

「ん?どうしたよ、俺の顔に何か付いてるか?」

心の奥底まで見透かされてしまうかのような純真な瞳から避けるように顔に手を当てる。

「何か言うこと・・無いの?」

拗ねたような口調ではあるが、長い付き合いだから分かる。

俺の隠し事を探している瞳であり、口調だ。

「まさか・・?」

言葉が勝手に口から漏れると、それをしっかりと聞き取ったのだろう、瞳をさらに輝かせて笑顔を作った。

「おめでと!公浩(きみひろ)にもついに彼女が出来たんだってね」

一瞬、時が止まったかと思った。

何故、この情報をこいつが知っているんだ?

そんな事よりも、どうしてこんなに嬉しそうなんだ?

という言葉が頭の中を駆け巡る。

「どうして、由真(ゆま)がそのこと知ってるんだ?」

内心では焦りながらも、焦りがばれないように言葉を考える。

流れる冷や汗が、言い訳にしかならない事を教えてくれているようだった。

「どうしてって・・公浩が付き合ってるのって恋(れん)でしょ?」

頭の中をたった一言「しまった」という言葉が流れる。

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