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黒髪の少年は?−3

[436]  2008-12-27投稿
私は、昨日片付けし忘れていたさくら組の教室を片付けにでも行こうと立ち上がり、気分転換を図った。
教室には3人の面影があって気分転換など出来る訳がないと分かっていたが。
立ち上がると、職員室の窓から運動場が見えた。
雨でぬかるみ、水溜まりが点在するそこに。
最初小さ過ぎて見えなかったが
傘もささずに。濡れて走る。

剣土君がいた。

「!!!!」
咄嗟に、ドアを開けて走った。
「佐々木先生!?」
恭一が呼び止める。
しかし聞いている場合ではなかった。

「剣土君!!今日は保育園はお休みなの!早く帰りなさい!!」
剣土君はずぶ濡れで泣いていた。
「さき先生…流君を探しに行かなきゃ……」
私は傘を剣土君の上にかざした。
「その為に来たの!?お母さんはどうしたの!?」
「……さき先生聞いて!」
「黙って来たのね!?お母さん心配してるはずだよ!?ここまで来れたから良かったけどそれまでに誰かにさらわれたりしたらどうするの!?一人が危ない事くらいもう分かるでしょう!!?」
「待って!聞いて先生!」
「剣土君の家に行きますよ!」
彼の手を掴む。
「待って!先生、聞いて!流君がいる所を俺知ってるんだよ…!」
「!?」
体が凍りついた。
流君の居場所を…?
「どこ!?どうして!?」
「…まず行こうよ!理由なんて見つけてからで良いでしょ?」
剣土君は私の傘から出て走った。
速い。
「剣土君!!!」
私は傘を置いてそれについて行く。
後ろから、恭一の声と足音がまた聞こえた気がした。
しかし、剣土を追って曲がり角を2、3度曲がるとそれは聞こえなくなった。

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