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黒髪の少年は?−6

[508]  2008-12-27投稿
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『いつまでこんな事を続けるつもりだ』
俺は、草の中落とし穴の底に溜まる血を見下ろして笑うそいつに向かって言った。
「いつまで…なぁ。いつまでだろうなぁ?」
そいつは、艶のある唇を引き上げて嫌らしく笑った。
コイツは、実を言うと真実に剣土ではなかった。
彼の前世であった。
そして俺は、その守護霊。
俺は全身全霊で剣土を護るのが使命の守護霊で、コイツは再びこの世に生まれ変わるのを選んだ変わり者だ。
もちろん、コイツは目的があって生まれ変わった。
人を殺したり、暴行したりしたかったのだ。
霊のままでは、できない。

人を殺すために産まれてきたコイツ。
俺は昔、コイツが赤ん坊を殺そうとした時コイツを殺そうと思った。
しかし、コイツを殺した時剣土がそのまま生きられるかは微妙だった。
コイツは剣土の魂で。
魂がないまま、生きられるのだろうか。

「見たかよ、最後のあの大人の顔こっちを見てたぞ。殺虫剤かけられて悶えてるゴキブリみたいだったよな」

剣土は優しくて間抜けな普通の子供だ。
他人が怪我をするのでさえ心を痛める。
絵本を見て、泣いてしまう。
コイツが剣土の体を乗っ取るような状態になると、剣土は人格が変わる。
コイツと、剣土は別だとは言えないだろうか。

「ははは…あの、由宇の死体を見せた時の美祢の顔…突き落とす瞬間の表情…人間って奴は変わらねぇな…」

コイツは剣土に引き寄せられて集まって、剣土が好きだった人ばかりを殺した。
俺は、コイツがこれから剣土の好きな人を殺し続けて、その際にヘマをして全ての罪が明かされ、剣土に死刑が貸せられる事を想像した。

しかし剣土は否認する。
しかし証拠はある。
しかし剣土は身に覚えがない。
好きな人の死で傷む心で、まともな返答すらできない。
ニュースでは彼を醜い、幼稚な、猟奇的な犯人として報道する。
殺される際、沢山の怨みの言葉を聞かされ、反省や謝罪を煽られる。
剣土は戸惑い、しかし自分がやったのだと心が引き裂かれる思いの中身に覚えのない罪の贖罪をして殺される。

それならばいっそ。

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