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伝えたい…[読切]

[476]  ゆー  2008-12-29投稿
今もまだ覚えている。
最期の一瞬…

いつもと変わらずバイトしている間、携帯には着信が残っていた。

バイトが終ると、アタシは直ぐに、電話した。

「もしもし?なんやった?」

「んや?特に何もない」
「そぅ…、ほいなら」

たったこれだけの会話。

その後、彼は、自ら人生に終止符をうった。


発見されたのは、その何日か後だった。

行方が分からずに、しばらくは音信不通だった。

アタシが携帯へ電話すると

「もしもし?」

「あなたはどのような関係ですか?」

電話を出た相手は、彼ではなかった。

「警察です、堤防にて、車の中で、亡くなっているのを、発見し、今は署に移動しました」

アタシは、手も声もが震え、

ただ真実を受け止めれなかった。

涙が止まらない
何で?
どうして?
自殺…


真っ暗な悲しみが一気に押し寄せた。


それから、遺体を確認し、通夜や葬儀。

その中で、彼の友達も、誰も、自殺の原因が分かる人はいなかった…。


ただ、友達から、一生忘れない言葉を聞いた。


「あいつは、何よりも、お前を大切にしていた、家庭環境が複雑ゆえに、俺しか頼る人がいないから、なるべく優先したい」

と…

聞いた瞬間、嬉しかったのと、やっぱり私にとって、たった一人。

掛け替えのない人だって、強く思った。


ホントなら自殺なんて、何で?どうしてするんだ…

まだ人生いくらでもスタート出来るんだ!
って怒りたかった。


だけど、彼の顔を見ると、怒れない。

やっと解放されたかのように、健やかに眠る顔だったから。

これが彼にとって、一番の幸せだったのかな?

私が歳を重ねるごとに、彼の歳を越えてしまう。
私が、ばーちゃんになっても

彼は、今のまま。

複雑な気持ち。
そして、

今、私はあなたの歳になりました。

変わりに。

これから、何がなんでも

あなたの分まで生きて行きます。

アタシの幸せを、

見守ってください。

たった一人
血の繋がった
おにーちゃん。

おやすみなさい。

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