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エリザベスドール?(32)

[452]  ぐうりんぼ  2009-01-02投稿
 アースルやルーク、ジョージを乗せたクルマが正門前にやって来た。

「こんなに人が多いとはネェ」

 ジョージは後部座席の窓から外の様子を見て、驚いていた。

「旦那様、如何なされますか?」

 ハンドル握る専属運転手のカートが後部座席にいるアースルに話しかけた。

「そのまま中へ入ってくれ」

「分かりました」

 カートは言われるがまま、構内へ向かう。

 ところが…

「あー駄目駄目!」

 正門の所で警戒中の警官に制止されてしまう。

 カートは窓を開けて、

「中へは入れないのですか?」

「申し訳ありません。
 大学構内は緊急封鎖で、全面立ち入り禁止になっております」

 アースルは窓を開けて警官に話しかけた。

「私はバーソロン財団のアースル・バーソロンだがね。モグレ警部に会いに来たのだ。中へ入れてくれないか?」

「失礼ですが、御用件は何ですか?」

「ローズマリー人形の事で、警部から連絡を受けたんだ」

「こちらに来るように、言われたのですか?」


「言われてないよ」

「それじゃあ、中へ入れるワケにはゆきません」

「人形に関して、重要な事を警部の耳に入れたいと思っているんだけど、駄目なのか?」

「警部から、そう言った連絡を受けていませんから、私の方では判断しかねません」

 アースルは苛立つ思いになり、言葉を荒げる。

「だったら、警部に至急連絡したまえ!
 緊急を要する事なんだぞッ!」

 溜め息付く警官。

「ち、ちょっと待って下さい!」

 すぐにケータイを取り出して、モグレ警部に連絡を取り始めた。

 その時…

「会長! あそこにモグレ警部がおられます!」

 ルークがフロントガラスの前方を指差した。

 よく見ると、遠くの噴水広場でたむろするモグレ警部の姿が見えた。

 間髪入れず、アースルはカートをせかした。

「すぐに、あそこの噴水広場へ行け!」

「え? でも、警察官の指示がないと…」

 戸惑うカート。

 アースルは強い口調で言った。

「警官1人に関わり合っているヒマはない!
 すぐに行けッ!」

「は、ハイ! かしこまりました!」

 カートはすぐにクルマを走らせた。

「お、オイ!」

 警官は慌ててクルマを止めようとしたが間に合わなかった。

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