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奈央と出会えたから。<306>

[520]  麻呂  2009-01-13投稿

『ケッ。女ってめんどくせぇ――。』



カチッ――



一言つぶやいた聖人が、



煙草に火を点ける。


『あっは♪

奈央ちゃんと秋田谷さん、ビックリしたでしょ?!

ごめんね。隠してて。

あたし、元番長だったんだ♪』



笑顔のミズホさんは、



やっぱ、可愛い。



普段は、



こんなにキュートなヒトの、



どこに、



さっきの迫力が隠されているんだろうって思った。



『あの‥‥ミズホさん。』



『なぁに?!奈央ちゃん?!』



『さっきは、助けてくれてありがとうございました。』



『なぁに言ってんのヨ!!

だって、あたし奈央ちゃん大好きだもん!!』



ミズホさんは、そう言って笑った。



『ユカも‥‥体当たりで青山さんから守ってくれてありがとう‥‥。』



そう、



あたしは、ユカにも助けられたんだ。



『何言ってんのよ。
あたしも奈央のコト‥‥大好きだから‥‥サ。』



ユカも、そう言って笑った。





『女って怖ぇな?!
ミズホが録音したICレコーダー聞いてて、

俺、マジ怖ぇって思ったぜ?!』



そして、



聖人も――





『奈央ちゃん。

奈央ちゃんの危険を察知して、

直ぐに、あたしに連絡くれたのは、聖人なの。

女同士の問題だから、元番長のあたしに任せたかったんだって。』



それは、



ミズホさんが小声で、



あたしに、こっそり教えてくれた言葉だった。



ありがとう、ミズホさん。



いつも、



あたしに優しく接してくれて。



ありがとう、聖人。


いつも、



あたしのコト、



守っていてくれて。


そして、



ありがとう、ユカ。


あたしも、あなたのコト、



“シンユウ”って思ってもいいかな――


みんな、ありがとう。



あたしは、



あたしは、



幸せ者です――

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