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奈央と出会えたから。<307>

[585]  麻呂  2009-01-15投稿

* * * * * *

桜がちょうど見頃になるこの時期は、



いつだって、



あたしのバースディと重なる。



そう、



あたしの大好きな桜の花が、



一番キレイに咲き誇るトキ――



いつもの公園の桜並木を、



あたし達は歩いていたね――





『わぁ、見てっっ!!聖人!!

桜の花びらがすごくキレイ‥‥。』



風と共に桜の花びら達が、



くるくると、



地面の上に、



舞い降りて来る――




『ピンクの‥‥雪みてぇ。』



『うん‥‥そうだね‥‥‥。』



ひらひら、



ひらひらと――



本当に、



ピンク色の雪が、



積もっているみたい――





『奈央。誕生日おめでとう。

14歳のバースディ♪』



あなたは少し照れながら、



あたしに、



おめでとうって言ってくれたね――





『なぁに?!

あっ?!もしかして‥‥‥。

中見てもいい?!』




14歳のバースディにもらった、



聖人からのプレゼント――





『わぁ!!嬉しいっっ!!

“いわさきちひろ”さんの絵本だぁ!!』



『奈央が探してたヤツってソレだろ?!』



『うん!!すごぉい。

これ、本屋さん探してもなかなか見つからなくって‥‥。』


『よかった。喜んでもらえて。』



『ありがとう!!聖人!!

あたし、大切にするね!!』



聖人。



きっと、すごい探してくれたんだろうな。



あたしの為に。



何軒も何軒も、



本屋さんを回ってくれたんだろうな。





『俺のガラじゃねぇから、買うトキ、ちょっと恥ずかしかったぜ。』



『あはは。何か想像つく。』





“いわさきちひろ”さんの絵本の話――


ちゃんと聞いてくれてたんだね――





『聖人とあたし。

またひとつ違いになっちゃったね。』



『ハハハ。そうだな。』





ピンク色のじゅうたんが、



あたし達2人の足元に、



ずっと、



ずっと、



続いていた――

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