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箱の中の新聞記者

[764]  エグテラ  2009-01-18投稿
高層ビルの並ぶ東京の市街地。
ここの空は工場の排気ガスによる空気汚染で汚れている。
ここで生まれ、ここで育った俺はウマい空気を吸った事などない。俺はアウトドアだが東京から出たことが一度もないため、こんな東京も好きになってしまった。
運が良かったのか会社は家から徒歩10分と、出勤の時に人で詰まった暑苦しい電車に乗らなくてすむ。
無論、痴漢と間違われたりもしない。ちなみに俺は新聞社に勤めている、まだ高校を卒業したばかりの19歳だ。
高卒故に他の社員の役にたてるか初めは心配だったが今は上手くやっているため俺は多くの人と明るく仕事をできている。
しかし窓から見える空はやはり……薄暗い。

「おーい、賢治、この記事をコピーして担当の社員に渡してくれ」
すぐ近くにいる上司に呼ばれ、歩み寄ると一枚の紙を渡された。コピーというか、まとめて記事にしろと言いたいのだろうか。
この上司も俺を支えてくれる一人の人間だ。頼まれたら断れない。

「わかりました。」
そう言って持ち場に戻る。紙に目を通すと、最近の事件や大物俳優の結婚、ビッグニュースなどが書かれてある。目が痛くなる…

今日も仕事は軽かった。カメラマンや記者はあちこちに引っ張られ重労働だが、俺のような内務作業の仕事は仕事して弁当食って仕事して帰宅と楽だ。帰宅時間も夜の7時と、高校生活とさほど変わらない。仕事を終えて家のドアを空けると迎えてくれたのは暗闇だ。
(そろそろ好きな人作りたいな)
洗面台の鏡の前に立つ。自分で言うのもアレだが、悪くはないと思う。
家族からも離れたため、家賃6万円程のボロアパートに住んでいる。晩飯はいつめと同じ、コンビニの弁当だ。
貧乏生活なので家があるし、テレビもあるだけマシだが、不満なのは窓の向かいに大きな建物が建っている。そのため太陽の光が部屋に入らない。昼になったら太陽が建物から顔を出すものの、窓からは光が差し込まない。夜は…論外だ。
家がつまらないため会社に行くのが楽しくなり、休日にはバッティングセンターや友人宅で遊んでいる。
いつしか窓の向かいの建物が解体されないかと願うばかりだ。
そんなことを考えているといつのまにか眠ってしまったらしく、次の日となっていた。

この日が最悪な日になるとは夢にも思わなかった…

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