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箱の中の新聞記者

[707]  エグテラ  2009-01-18投稿
狭い部屋に鳴り響くのは目覚まし時計。
眠ってる人には凄まじい轟音だが俺には静かに聞こえた。
なぜなら、何があったのか目覚まし時計が枕の下敷きとなっていたため音は漏れる程にしか聞こえなかった。
しかしやはり頭の真下にあるため一瞬で起きることができた。
目覚ましを止めた手でそのまま枕の下から時計取り出し時間を見ると出勤一時間前。ベストな時間だ。今日は土曜日。学生は普段休みの日だが俺たち社会人は違う。
今日頑張れば明日は休日。煩わしいがたまにはぐっすり眠りたいため明日が楽しみだ。
朝食を取りながら窓を見ると外には大きな建物が…
(……………チッ)
歯磨きをしながらズボンを履く。
携帯を見ると着信履歴もメールも無し。
昔からそんな感じだ。
午前7時40分、家を出た。
やはり、空気が汚い。
会社に行くまでに数多くの工場を見た。
また、都内だからか車が多いため排気ガスも他県に比べて多いだろう。
東京生まれで田舎を知らない俺は普通だと思った。
会社に入ると早速上司に呼ばれた。
「賢治君」
「は……はい」
唾を飲む。最近はリストラされる社員が急増しているため、リストラされるかもしれないと思ったからだ。そもそも、上司に呼ばれたことは殆どない。俺の近くの上司からは良く呼ばれるが…
「実は頼みたいことがある。」
肩を落として心底ホッとした。どうやらリストラ関連ではないらしい。そろそろ慣れないと呼ばれる度にビクビクしていたらいけない。
「実は近くの事件のインタビューにいって欲しいんだ。」
初めて外務の仕事を頼まれた。
「え…ぁ、はい…」
「事件というのは最近多発している監禁事件についてだ。近くで多発しているし、昨日も監禁されたかはわからんが、行方不明者が出たらしい。」
「ただの行方不明では?」
「一応調べる価値はあるだろう。ここだ――」
上司は地図を取り出しペンで記しを付けた。
「――ここに事件に詳しい人間がいるらしい。今朝電話があった。名前は中崎という人だ」

すぐに会社を出て目的地へ。
人間、行くまでは面倒くさがりだが行き始めるとやる気が出る生物なのだ。
地図を見ながら移動するとこれもまた、自宅から数分の場所。
(キツくなると違う県にまで行かないといけなくなるんだよな…)
会社から出て11分後、中崎と表記された一軒家を発見した。
身だしなみを整え深呼吸、そして……
インターホンを押した。

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