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○●純+粋な恋●?

[481]  沖田 穂波  2009-01-28投稿

3-? 初夏の路

その頃,京太郎は純の担当医と話込んでいた。
吐血して倒れたのだ。
ただの病ではない事位,
京太郎にだって分かる。

『それで,純はどの様な病なのでしょうか。』

京太郎はこの年老いた医師に訪ねた。

『わしは,
かつて春子さんの担当医でもあったが‥』

医師は重い口を開いた。
春子とは京太郎と純の母親の事である。

『純君は,春子さんの病の時と同じのようだ。』

『ーやはり‥。』

京太郎の顔が曇った。
京太郎が12の時,母親の春子は死んだ。
それも,純と同じように突然吐血し,数ヶ月後の事だ。

『そう,か‥同じ‥』

京太郎にとって,
これは絶望の答え合わせだった。

『純君の場合,
春子さんよりはるかに病の進行が早い。速やかに治療して約1年,しなくて3ヶ月と言う所だ。』

医師は渋々と続ける。

『治療は副作用がある。これは‥辛いぞ。
どっちみち,余命はあとわずかだから‥』

『私達に,選択しろと言うのですか‥。』

京太郎は俯いた。

『そうだ。辛い治療に耐えながら死ぬか,何もせず楽に死ぬか。』

医師は手元の資料に恨めしく目を通し言った。

『もはや,純の死は逃れられないか‥。』

京太郎は小さな声で呟いた。

『すまない。これからは余命をどう過ごすかを考えた方が良い。』

京太郎は,医師に隠す様に目頭を押さえた。

ー 純を自分より先に死なせたくない。

京太郎は,叶わない願望に,ただ涙するしかなかった。


●○続く○●

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