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ロストクロニクル7―9

[425]  五十嵐時  2009-02-14投稿
タクトたち三人は犬に追われながら、走って村の中へと入っていった。
「誰か助けて下さーい!」
フラットが叫んだが村人の居るようすは全く無く、ただ家々が虚しく点在しているだけだった。
「なんだこの村気持ち悪ぃな。誰も居ねぇ」
フラットが振り返るとそこには、まるで何かを恐れるかのようにおめおめと逃げていく犬の姿があった。
「パールは?村人は?」
「家はたくさんあるのに村人の姿が全く無いですね」
タクトが村の入り口近くにあったひとつの家の窓を覗いた。
中には家の床から天井まで伸びた姿見がひとつ玄関の前にあった。
「何かありますか?」
気が付けばフラットが後ろに立っていた。
「なんだか不気味ですね。静か過ぎます。それにパールさんはどこに行っちゃったんでしょうか」
「探してみよう。もしかしたらどこかの家の中にいるかも知れない」

タクトたちは家を一軒一軒当たったが、パールどころか村人の姿さえ見つけることができなかった。
「すげぇなー。この村の家にはでっかい鏡が絶対にあるな」
「うん。でも、この鏡は比べ物にならないな」
タクトの見つめる先には、村の中心部に聳え立つ巨大な鏡があった。
「鏡の中に見えるのは、真実?それとも偽り?」
小さな女の子の声が遠くから聴こえてくる。
「なんの声だ?」
「もしかしたら鏡を見ている自分自身が偽りなのかな?ふふふっ」
声は後ろから聴こえてきた。
「鏡が映すのは真実なのかな?それとも偽りなのかな?もしかしたら偽りを映すこと自体が真実なのかも・・・ふふふっ、いいや、結局、真実と偽りは同じものなのかも・・・」
今度は前から聴こえた。
「一体、何を言ってるんだ?」
タクトは空に向かって問いかけた。
「あなたたちが見ているものが偽りなのかも・・・」
すると、辺りはパッと明るくなり、村には一気に活気が戻った。村人たちも店の前で買い物をしたり、子供たちは友達と仲良くおいかけっこをしたりしている。
「・・・どうなってんだ?」
「いいや、あなたたちが見ているものこそが真実なのかも・・・」
すると、活気は無くなり、村は元の姿に戻った。
「ふざけるな!姿を現せ!」
ウェドが怒鳴った。
「目に見えるものが真実とは限らない。でも、偽りではないのかも・・・」
そして、目の前に現れたのはパールだった。

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