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航宙機動部隊前史後編・34

[529]  まっかつ  2009-02-18投稿
ドクター=キマリを中心とした科学者達は、まずは最終兵器の理論面を整備した。
それ自体は決して難しい事ではなかった。
地球時代末期に完成した核分裂の応用発展型だ―キマリは実に明解に、その原理を説明した。

通常、核分裂を引き起こし、絶大な破壊力を手に入れるには、中心に置かれた核物質に向けてあらゆる方向から一斉に爆発を加える《爆縮》と呼ばれる技法を用いて核分裂を連鎖させる勢いを得るが、今回の場合は、その爆縮自体を高性能火薬の代わりに核で行わせ、より根源的な物質―素粒子を破壊して、その過程を連鎖させて、核とは比較にならない怪物を創り出そうと言うのが、その骨子だったのだ。
勿論、言うは易し行うは難しで、その実現には莫大な時間と労力と、何よりも資金が要った。
マルドゥク計画自体は、銀河元号一五九六年に開始されたが、作業はやはり、難航を極めた。

核兵器には分裂を応用したものだけでなく、水爆に代表される融合型もある分けだが、入念にもキマリ達は、最終兵器完成への追求に他の可能性も見い出し、万が一への保険と成した。
それが、爆縮の過程を反物質で行わせるAM型素粒子破壊弾だ。
このタイプは、核爆縮《超重爆縮》型と較べると、制御・運搬・維持・管理に十倍近いコストを要する実にデリケートな代物となったが、それを埋め合わせて余りある破壊力を誇り、やがて固定式兵器として敵味方の恐怖の的となる事になる。

銀河元号一六00年・新年期一日《修正太陽暦一月一日》、一先ず完成した試作型素粒子破壊弾《オニオン》の起爆実験が執り行われ、それは―それまでが遊びに過ぎないと思わせる位に、戦争の全てを一変させてしまった!
何故ならそれは―星系一つを吹き飛ばしてしまったからだ!
同年第二期一八日《修正太陽暦《四月一八日》のやはり試作AM型《チェリー》の実験は、さらに凄まじい結果となった。
それは、爆発と同時に時空間に巨大な穴を開けてしまい、人工的なブラックホールが出来上がっていたからだ!

最終兵器が完成した知らせは、厳重な秘匿管制にも関わらず全銀河に拡がり―陣営問わず、良識派の科学者や知識人たちは結束して反対運動を起こした。
だが、それを踏み潰してまで量産を断行し、実戦投入を強制したのは、又しても宗教界であった―\r

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