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赤い絃

[375]  夏蝶  2009-02-27投稿

「心中しようか」


愛する君に言われた言葉を、誰が拒むことができる。
生の終わりをながめ、死の始まりを旅する。そう。たった二人で。

「いいですね」

絡めた手をきつく握る。そして体を抱き寄せる。

「なぜ急にこんなこと?」

耳元で囁く。
別に意味はないのだけど。

「クスッ…気分かなぁ」

耳元で囁く。
本当はずっと前に決めていたのだけど。

「そう」

腰をひきよせ、傍にある帯で二人を結ぶ。きつく。きつく。

「平気?」
「大丈夫」

首筋に顔を埋める。

「ありがと」
「これってお礼言うようなことかなぁ」

笑いが込み上げる。これ以上ない幸福感。

どうぞこれからもよろしくね。

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