赤い絃
「心中しようか」
愛する君に言われた言葉を、誰が拒むことができる。
生の終わりをながめ、死の始まりを旅する。そう。たった二人で。
「いいですね」
絡めた手をきつく握る。そして体を抱き寄せる。
「なぜ急にこんなこと?」
耳元で囁く。
別に意味はないのだけど。
「クスッ…気分かなぁ」
耳元で囁く。
本当はずっと前に決めていたのだけど。
「そう」
腰をひきよせ、傍にある帯で二人を結ぶ。きつく。きつく。
「平気?」
「大丈夫」
首筋に顔を埋める。
「ありがと」
「これってお礼言うようなことかなぁ」
笑いが込み上げる。これ以上ない幸福感。
どうぞこれからもよろしくね。
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