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神の丘〜二人〜?

[547]  佐奈  2009-03-02投稿
神の教えを説いている自分自身、おぼろげにしか神の姿を見る事ができなかったからだ。

「‥私の‥私の信じる神の姿‥」

「こ〜ら、子供達よ!もうすぐ日が暮れるよ。もう家に帰んな〜!!」

扉の無い入り口から、杖を突いた老婆が現れた。

「あ〜、ゲン婆だ〜」

子供達がゲン婆と呼ばれる老婆に駆け寄った。クロムも立ち上がりそこへ向かう。

「あんたかい、子供達が言っていた神父様っていうのは」

「すみません。こんな時間まで子供達を引き止めてしまって」

「いいや〜、むしろ感謝しているんだよ〜。字も読めず、まともな教育を受ける事の出来ないこの子達を、普通の子の様に接してくれる、あんたに」

そう言って、子供の頭を強くなでた。

「そ〜だ!あんたに美味しい林檎を持ってきたんだった‥あ〜れ?置いてきちまった!ちょっと待っていておくれよ!」

クロムが止めるのを聞かず”あらあら”といいながら杖を鳴らし早歩きで教会から出て行った。

「ごめんねクロム。ゲン婆ボケちゃってるんだ」

そんな子供の言葉に思わずクロムは笑ってしまった。


「あんたが噂の”しんぷさま”かい?」

男の低い声がした。そこに目を向けると、がたいのいいスキンヘッドの男と、ヒョロットしたチンピラ風の男がいた。

「ああ〜ゴンザ!」

子供達はスキンヘッドの男を知っているようだった。一人の子が、ゴンザの前に立ち、両手を腰にあて怒鳴った。

「何しに来たんだよ!また、悪い事しにきたのかよっ!ゲン婆に言いつけるぞ!」

「うっせーんだよ!ガキはひっこんでろ!!」

ゴンザの横に居たチンピラ風の男が、子供のえりを掴み後ろへ突き飛ばした。

「なにを!!」

クロムは子供に駆け寄った。突き飛ばされた子は、参拝用の壊れた椅子にあたり膝から血を流していた。その血を見て子供達がいっせいに泣き出し、クロムのそばに駆け寄った。

クロムはゴンザ達を睨みつけ、そっと腰の剣に手を置いた。

「おお〜こわっ。”しんぷさま”がそんな危ないもん振り回しちゃいけないよ〜。それに、今時そんな物役に立たないんだよ!」

そう言って、チンピラ風の男が銃を取り出した。

つづく

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