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神の丘〜二人〜?

[496]  佐奈  2009-03-18投稿
「一度ばーちゃんに連れてこられたけど、なんか、綺麗っていうか‥ほら、よく歌とか歌ってるでしょ。真ん中にある十字架に向かって、楽しそうに歌ってる奴らを見てると、ここは俺なんか汚れた奴が来る所じゃないんだって、足がすくんで、結局、逃げ出しちまったんですよ。お恥ずかしい話で」

そう言って、片手を頭にあて、照れ臭そうに笑った。

「とてもいい話ですね」

「えっ・・・」

「昔の話を笑って話せるあなたは、ここに相応しい人だと、私は思いますよ」

嬉しかった。

真っ直ぐに自分自身を見てくれた言葉が、ただ、本当に嬉しかった。そんな言葉に慣れていないせいか、どんな表情をしていいか解らず、ゴンザは無理矢理話を変えた。

「そういえば、今日は”神父様”って格好、していないんですね」

そう。昨日とは違って、黒いタンクトップに黒い長いショールを巻いて、左肩には黒い包帯が巻いてあった。下は濃いめのジーンズに、ごつめのブーツ。長い髪は、赤い、一本のヘアー・スティックて無造作にまとめられていた。

ひとつ変わらないのは、腰にある剣だけだった。

「その剣は、いつもお持ちなんですね」

「これは、兄様の形見なんでね‥これだけは、手元に置いておきたいんだ」

「‥お兄さんの形見‥それは‥」


「なにサボってるんだよ!みんなでやらなきゃ終わらないだろ!」

ゴンザの言葉をさえぎって、一人の少年が、近づいて来た。

クロムを一人占めされているせいか、不機嫌な顔をしていた。

「ごめん、ごめん。少し話をしすぎたね。さあ、続きを始めよう」

子供の頭を撫でながら、途中だった床の修理を始めた。

その直後、奥のほうで子供の声がした。

「あっ!昨日の神様だ!」

クロム達が子供の指差す方向に目をやる。

「憂牙!」

教会の入り口に立っていた。こちらを軽く見ると、フッ‥と去っていった。

「憂牙、ちょっと待って!」

そう言うと、クロムは持っていた金づちを床に投げ出し、教会を出て行った。

つづく

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