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タイムマシン商法

[699]  hiro  2009-03-20投稿
よく晴れた日曜日…。
「そこのお兄さん!ちょっと待って」
奇妙な男が私に声をかけてきた。
その男は上下に白いスーツを着て、サングラスをかけている。
「お兄さん!100万円でタイムマシン買わないか?」
男が威勢のいい声で意味のわからないことを言ってきた。
私は当然のように訊く。
「そんなのどこにあるんです?」
男は当然のように答える。
「まだ完成してないんだけど、完成したら渡すよ」
「ばかばかしい」
こんな詐欺、誰が騙されるか。
「タイムマシンさえあれば、宝くじとか当て放題だよ!未来へ行って当たりの番号を確かめるのさ」
「そんなの信じませんよ」
私が歩き出そうとすると、男がまた言ってきた。
「じゃあ、証明しようじゃないか」
男は自信に満ちた顔で言う。
「タイムマシンが完成した時、私は過去に戻る」
「え?」
「いまから5分後に、私がここに現れるはずです。未来の私が」
「どういうことです?」
「私は誓います。タイムマシンが完成したら、私は過去のこの時間に来ることを。しかもこの服装でね」
そして5分後、上下白スーツでサングラスをかけた男が本当に現れた!
同じ男が2人、目の前に立っている。
「ほら約束通り来ましたよ。タイムマシンは完成しましたよ」
そこで、そばで見ていた若者が声を上げた。
「俺タイムマシン買うよ、絶対!」
若者が契約書にサインをする。
私もつられてサインをした。
100万円でタイムマシンを買う契約をしたのだ。




結局タイムマシンは真っ赤な嘘だった。
未来から来たという男はあの男のグル。
契約書にサインした若者もグルだった。よく考えればわかることだ。
その場の雰囲気にのみ込まれたらそこで終わり。
何事も、疑うことが肝心だ。

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