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モウテン?

[416]  カオリ  2009-03-21投稿
もし自分が死んだら…たまに考えていた。それは残された人たちのことを考えたものではなく、自分を中心においた場合のこと。死んだらどうなるんだろう、意識というのは命が尽きるときに消滅するのかな?誰も教えてくれる人がいない分、想像はどんどん膨らんでいた。
あたしとこういう話をする相手は決まっていた。思考回路がとても似ているリカという子。たまにこの話になったとき、リカは「あたし心霊写真に超怖い顔で写ってやるんだぁ」と言っていた。 確かに、世に出回っている心霊写真で、霊とされているものはどういう意図で写っているんだろう。怨念とか未練とかかもしれないが、もしかしたら単にびびらせたいだけかもしれない。楽しげにポーズをきめている人の後ろであるはずのないところに手を伸ばして、写真を撮り終えたら「な〜んつって!」とか言ってるかもしれない。出来上がった写真を覗きに行って、びびってる人の後ろで「イマイチだったわねぇ。やっぱ顔出さなきゃだめだわ」とか言ってるかもしれない。そういうのを考えると、オバケになってできないことはないような気がしていた。
あたし、今からわりと楽しめるんじゃない?安易な考えが頭を支配し始めてきた。行ってみたいところはどこでも行けて、やってみたいことは何でもできる。楽しみを共有する人はいないけど、あたしの特権だもん。どうやら死んだ人は、自分が死んだということについて悲しみを抱かないみたい。あたしが特別なのかな?だとしたらこんな性格でラッキーだった。そんなことを考えているとタバコのことは忘れていた。どうせ吸えない。 そのときだった。ざわざわと音が聞こえた。今度も近い。走って近づくと、さっきと同じようなスクリーンに映像が映し出されている。
よく知ってる場所だった。あたしの勤めていた職場の一室。職員室。生きてる頃、あたしは中学校の先生をしていた。

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