(ID:47920) - 携帯小説！(スマートフォン版)

ﾞじゅじゅぅ?ﾞ
何かを焼く音と匂いで目が覚めた｡
｢おはよう。起きた？｣
舞がキッチンから僕の顔を覗かす。あくびと共に一つ背伸びをして
｢おはよう｣
と、挨拶を返した。しょぼしょぼした目をこすりながら洗面所に行き顔を洗う。冷たい水のせいで残っていた眠気が一気に吹き飛ぶ。それから、
｢朝ご飯出来たよ｣
と、舞が言う。
今日はお互いが休みの為、昨夜僕が舞のアパートに泊まったのだった。
朝ご飯はハムを混ぜた目玉焼きにサラダとトーストだった。僕も舞も朝は洋食派だった。
｢よく眠れた？｣
｢うん、よく寝た｣
｢フフフ。昨夜はいびきがすごかった｣
｢舞より先に寝ちゃったんだね。いびきすごかった？｣
｢うん、けっこう｣
｢それは悪い事したね｣
どうやら疲れのせいか先に寝た僕は大きないびきをかいてたみたいだ。
舞と付き合い出して半年が過ぎようとしていた。僕も舞もまだマンネリ化はなさそうだ。しかし、心のどこかであの時、汽車で見た町田美香の事が最近、気になってたのは事実だった。｢バレンタインの日もお互い休みだったらどっかご飯でも食べに行けたのにね｣
｢うん、そうだね。有休まだ残ってるけど毎回イベントで使えないし｣
｢この間、私の誕生日にも二日使ったもんね｣
｢そりゃ、バレンタインも一緒にどこかに行けたら本望だけどさ｣
｢仕方ないか｣
来週はバレンタインデーだった。あの、鉄棒の側でもらったバレンタインデーから十三年の月日が過ぎようとしてた。
その日はゲームセンターで遊んだりペットショップに足を運んだりした。それから僕達は舞の要望でレンタルビデオ店を訪れた。
｢これが見たかったんだ｣
舞が選んだのは初めて一緒に映画館で見たﾞLoven'youﾞだった。
それから舞のアパートに戻って二人で映画を見た。見てる途中でやっぱり舞は涙した。
｢やあーい、泣きみそまーい｣
と、僕がからかうと
｢泣きみそじゃないもん。舞、強い娘だもん｣
と、怒って言った姿を見て僕は笑った。

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思い出の足跡(20)

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