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ギャラクシーラリー25

[416]  フェイ  2009-03-26投稿
声をかけてきたのは、吉原桃子だった。

美穂とは正反対の存在。

発達した胸とお尻、それを強調する派手なファッション。舌足らずなしゃべり方…。

ほとんどの男は吉原桃子を見ると、目のやり場に困るだろうが必ず振り返って見てしまう。

美穂は吉原桃子とはハローワークで知り合った。

「ねぇ、火を貸してくれない?」それが美穂が彼女と初対面で言われた言葉だった。

タバコを指で挟んでくるくる回しながら桃子は言った。

美穂はタバコは吸わない。普通そういうのって、タバコ吸ってる人とか吸ってそうな人に頼むものじゃない?

何でワタシに言うのよ…?
美穂は自分の対極に住む女に少々イラっときた。

そしてバッグからジッポのライターを出して桃子に貸した。

学生時代、片想いの男にプレゼントしようと買ったのだが、結局渡せず未だに持っていたものだ。

美穂にとって、他人へ自分が積極的に干渉しようとした最後の記念品だ。

時々、オイルをさしてちゃんと使えるようにしていた。

これは、自分が社会性を失わない為の儀式に近いものだ。

この時、桃子を無視すれば良かった。

なぜライターを貸してしまったのか?美穂にはわからない。気まぐれだった。

桃子は機関車のように煙を吐き、礼を言ってライターを返した。

そして立ち去ろうとする美穂に、機関銃のように話始めた。
美穂は後悔した。

桃子の声は大きく、派手な容姿は人目を引く。

周りの視線に耐えきれず、美穂は桃子を喫茶店に誘った。

後悔は深まる一方だが、この女は無視する方が疲れる。仕方がなかった。

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