携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 航宙機動部隊前史後編・40

航宙機動部隊前史後編・40

[458]  まっかつ  2009-03-27投稿
そこへ再び現れたのがドクター=キマリ=ジュニアだった。
彼は三人の子供(初代キマリから見たら孫に当たる)と共に、人類総会《ヒューマン=アセンブリィ》への全面協力を申し出た。
しかも、無償でだ。

かつて最終戦争を止めようとした彼の試みは、老獪を極めようとして実は未熟であり、輝かしい未来図に描こうとした理想は、地獄絵図の現実と言う形となって、彼と彼の朗党を完膚無きまでに叩きのめした。
そして、何よりも苦々しい事は、公私共に彼の憎むべき敵、ドクター=キマリ自身が高齢を物とせずにぴんぴんしていたと言う事実だった。
【ドクター=キマリが恐ろしいのは、彼が単なるマッド=サイエンティストに留まる存在だからではない
彼にはちゃんとした理念があり思想があり実を言えば詳細な計画を持っている
それに基づいて綿密に行動する彼の目指す物は―この銀河自体の死と再生―\r
最終戦争と言う儀式によって我々人類全てをいけにえに差し出す事によって全く新しい知性に満ちた宇宙を誕生させようと言うのが彼の最終目的なのだ】
ドクター=キマリ=ジュニアは、父から耳にした恐るべき考えを息子や弟子達にこの様に伝えた。
最終兵器の大量使用によって銀河系中を《穴ぼこ》だらけにし、そのバランスを崩壊させ、一挙に終焉を迎えさせる。
その大破壊を経た後の再生により新たな銀河が構成され、汚れのない知性と秩序に満ちた完全な宇宙が始まる―キマリ=ジュニアや後の研究者達は、謎多きキマリ思想を大概この様に推測している。
言うまでもなく確かに恐ろしい話だ。
【人類種が滅亡するのは不幸な事か?否、そうではない】
別の機会でドクター=キマリはこんな風に持論を語った。
【人類が進化する?そんなのは我々自身の身勝手な論理だ―そんな程度で宇宙は変わらない
本当に必要なのは我々以外の知性だ
だがそれは異星人を指すのではない
本当の知性の進化・若しくは純化とはこの宇宙―少なくとも銀河系単位で考えなければならない
真の破壊と再生を経なければ真の進歩はありえない
考えてもみたまえ三葉虫に文明を創造出来たと思うかね?
我々の様な知性を迎える為には彼等は絶滅しなければならなかった
それと同じプロセスが何故我々だけ働いてはならない等と言えるのか?】

感想

感想はありません。

「 まっかつ 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス