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猫の手 手帖8

[531]  猫の気持ち  2009-03-31投稿
吾輩の首には鈴が付いている。それは飼い主さんに選んでもらった立派な鈴だ。自分でも結構気に入ってて、是非みんなに見てもらおうと、少々眠くとも散歩へ出掛けるくらいだ。

ところで最近気になることがある。それは「猫の首に鈴をつける」という難しい諺だ。主語がないので、なおさらよくわからない。仕方なく重い腰を上げて調べてみる。

すると、ギリシャより伝わった鼠さんの立場に立ったもので、いざ実行の段階となった際の、担い手がない至難なことを意味するらしい。

とほほ……。恥ずかしながら、今までの吾輩、全く諺に主語がなかったので、実際にこの首に鈴をつけてくれた飼い主さんの気持ちとして理解しておった。 一体、散歩する際の、あの勝手気儘な猫でもする「身嗜み」なんかを意味するのか、それとも危険を省みず好奇心のまま動き回る、そんな子供を心配した「子を思う親心」を意味する諺かと思っていた。まあ前者の場合、鈴の音が鳴る点を考えていないから、これは後者の「子を思う親心」を意味するもんだと、簡単にそう考えていたのだ。

いやはや恐れ入る。まさか鼠さんの気持ちで見る諺だったとは、夢にも思わなかった。全く肩身が狭くなる思いだが、もともと狭くするだけの肩もないから、どうしようもない。ただ追いかけるものとしか日頃考えていなかった鼠さんだったが、これからは鼠さんのことも少しは考えなければならぬと反省している。

そこで鼠さんのことを考える訳だが、猫の人気者ドラえもんに匹敵する、そんな鼠さんの人気者と言えば、やはりミッキーマウスだ。ただドラちゃんは日本物で、ミッキーは海外物といった違いがある。なので、もし海外の方にドラえもんについて聞かれたら、理解してもらえるかは別として、ミッキーマウスに耳をかじられたエジソンと答えるのも一つの手だと思う。

また日本の鼠と言えばゲゲゲの鼠男がいる。勿論これは、こちらからの猫娘との共演だ。通常鼠さんにとっては、猫の狙い澄ましを充分に配慮した賢き知恵が勝負処となるが、自分では賢き知恵と思っていても実情を伴わないと鼠男のようになる。しかし毎回許されている所をを見れば、またそれも一つの成功で、一部の人からは人気がある。

それにしても、もし吾輩どもが絶滅となれば「猫の留守は鼠の代」となり、強いてはラットレースの世となるだろう。

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