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ダラス

[501]  二つ星  2009-04-01投稿
ダラス  麦藁帽子



ボビー・ブラフマン

これがその男の名前だった。
しかしホワイトリカーのマスターのポストが用意された時、黒幕から
アルフレッド・ソラン\r
を名乗るようにとの指示があった。
元々かけていた黒縁の眼鏡さえ外せば、変装なしでも日常問題はないだろう、との事だった。
 架空の替え玉と引き換えに釈放されて後、ほとぼりを冷ます為、二年間はフランスのフォンテーヌブローで油絵を八点描いて画家を装った。
 村人が称賛して画商を呼び、その画商が『うちから個展で出して世に高値を付けて真意を問おう』というのでパリに誘われたが、“A・デュパン”とサインを入れると、作品はこれっきりで絵筆を折ってここを去るつもりだから、あとは貴方が脚色をしていくらでも儲けなさい、と言ってそのうちの七点をブラフマンは無償で渡した。
 ただし、この『麦藁帽子』の絵だけは貴方が所有者でいるように、と念を押した。それは間借りしている小屋の前居住者が唯一残した私物を描いた抽象画である。

 ブラフマンはこの絵がいずれ黒幕か、あるいはその敵対する何者かとの駆け引きに使えると踏んで、ある仕掛けを施しておいた....。

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