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山のカミサマ

[610]  なげ  2009-04-08投稿
何年も前の話、僕のじいちゃんはすごい山奥に住んでいた。
夏休みは親父に連れられ、休みの大半をじいちゃんの家で過ごしていて、大自然に囲まれたワイルドな生活が僕もだいすきだった。

そんないつもと変わらない夏休みのある日、畑仕事から帰ってきたじいちゃんに僕は山に遊びに行きたいとせがんだ。
当時まだガキンチョの僕は、冒険と称して野山を荒らし回り、ことあるごとにじいちゃんの手を煩わすクソガキだったが、山にだけは行くな、とキツく咎められていた。

しかしそこは好奇心旺盛な無知なガキンチョ。行くなと言われては、ますます興味がそそられる。
ここは保護者同伴でも秘密の花園を垣間見たい!どうしても見たい!


腹を空かせたイヌコロのようなおねだりの応酬に、じいちゃんも困り顔だったが、煙草をゆっくりと吐き出すと、ちょっとだけだぞ!と念押され、山に行く許可を出してくれた。


僕飛び上がらんばかりにハシャぎ、お気に入りの双眼鏡とおやつを手に、念入りに準備をするじいちゃんの服を引っ張って出発の催促をしきりにした。

今でもハッキリと思い出す、どこか不安げなじいちゃん。



僕はこの時、まだあんな不可思議で恐ろしい出来事が起こるとはつゆとも思っていなかった。

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