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見える女

[781]  ピロリ  2009-04-10投稿
B子はいつも不満を抱いていた。
『どうして誰も私を相手にしてくれないの?』
本当は皆とおしゃべりに花を咲かせたいB子にとって今の職場ではなぜかそれが叶わなかった。
B子は年老いていた。そして古株根性を丸出しにし、気に入らないことは上司にすぐチクリに行っていた。
皆が疎ましく思うのも当然だった。

ある日、休憩室で皆が盛り上がっているところにB子が現れた。
B子は興味のなさそうなすまし顔をし椅子に座った。
話の内容が聞こえて来た。
どうも霊能力についてのようだ。
そのうちの一人がB子に聞いて来た。
「B子さんってそういう力ありそうですよね」
皆笑いそうになった。
B子は風貌からしてもまさにおあつらえだった。 「えぇ、見えるわよ」
B子はそんな事も気付かず自慢げに言った。
するとまわりはシンと静まり返った。
「え…見えるって…」
「見えるのよ。私。そういう家系だから。私はぼんやりだけど母はもっとすごいわよ。」
まわりがざわめいた。
「本当ですか?なんか凄いですね」
男性社員から話し掛けられB子はさらに心踊った。今は自分が話の中心になっている事に心震わせながらB子はいった。
「実はここ…いるのよ…。女の霊が…」
B子の声を潜めた恐々しい姿に皆話に聴き入った。
休憩所はB子中心に話が盛り上がった。



「あなたの守護霊は…」
いつしかB子は霊媒師まがいのことを会社で始めていた。
霊の話をすれば皆興味をもってB子に話をしてくれるからだ。

そんなある日、残業でオフィスに一人になったB子は帰り自宅をしていた。
突然ドアがギィと鈍い音をたてて開いた。
B子はドキッとして音のほうを振り向いた。
そこにはいつも大人しいC子が立っていた。
「やだ、おどかさないでよ!何?忘れ物?」
話し掛けるB子に向かってC子は刃物を振り下ろした。
「ど…どうし…て」
B子は床に崩れ落ちた。
「あんたが毎日毎日霊の話ばかりするから私怖くて怖くてびくびくしてた。
あんたがいなくなったら話終わるでしょ?」

B子は薄れていく意識の中で思った。
『全部嘘だったのに…』

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