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好きと言えなくて…(4)

[611]  優風  2009-04-12投稿
紅葉の季節も終わり、寒さを増して季節は冬となり師走を迎えていた。今年も残り一ヶ月を切った。
その日は補習の為、残っていて学校を出たのは五時半を過ぎていた。夏なら六時を過ぎても明るいが冬は日が暮れるのが早く外はすっかり暗くなっていた。僕は見たいテレビ番組も終わっていた事から補習メンバーと話しながら周り道をして帰路を辿っていた。
「今年も後、少しで終わるね」
「今年もろくな事がなかったなぁ」
大介がぼやくように言った。
「来年からは中学生かぁ。そう考えるとなんか六年間が早かったよね」
僕がそう言うと“優衣ちゃん”が、
「本当、そうだよね」
と、同調する。
「何でもそうだけど始まりってこれからかって長く感じるけど終わりに近づくと、もう終わり?って感じるよね」
もう一人の女の子、“加奈”も言った。
「そう考えるとすぐに大人になって老人になって死んで人生はかなく終わるのかなぁ」
「大君、悲観的に考え過ぎ」優衣ちゃんに言われて大介は軽く“ハハハ”と笑う。「俺なんて八月が来たらもう一年の終わりを感じるけどね」
僕の言葉に皆が“早っ”と突っ込んだ。
「もう少ししたらクリスマスだね!」
「去年は加奈の家でクリスマス会したよね」
「今年もしようよ!二十三日にでも」
優衣ちゃんの言葉に加奈も目を輝かして言った。
「じゃ、俺ケーキ持ってくよ」
大介の言葉に皆、喜んだ。大介の家はパン屋を営んでいた。パンと一緒にケーキも売っている。だから、この“ケーキを持ってくよ”という言葉は大介の特権なのだ。
「ねぇねぇ、二人は誰か好きな人いるの?」
加奈が少し甘えたような声で問うてきた。ガールズ・トークの始まりだ。
「何でそんな事聞くの?」
僕は少し動揺して聞き返した。
「もし、いるならその娘も呼んであげようと思って!」
「絶対、あたし達二人じゃないだろうしね」
「ねぇ、誰なの?秘密にするから教えてよ」
「別に好きな娘なんていねぇよ」
大介が面白くもなんともないといった顔つきで答える。
「本当にぃ?嘘だぁ」
「俺、誰かが好きだなんてここ二年間言った事ないよな」
大介が僕の顔を見て言った。
僕も“うん”と頷いた。
加奈が僕の顔を覗き込むように言う。
「さっき動揺したよね。当ててあげようか」
「えっ!?」
「健治君は“智美”の事が好きなんでしょ?」
“竹原智美”は前に好きだった娘だった。だけど、今は何とも思ってなかった。

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