携帯小説!(スマートフォン版)

[945]  めい  2009-04-13投稿
夜はウィスキーをそのままストレートで飲む。
フラフラになる…記憶を飛ばせる…意識を飛ばす…。
自分の血に負けちゃてはいけない…。
どんなに満ち足りた気持ちでベッドに入っても、
夜中『乾き』で目が覚める…。

『乾き』…。
この欲求に負けたら、私は犯罪者だ。
今はとにかく酒で感覚を麻痺させる。
そうすればまた睡魔に負ける事が出来るんだ…。
朝、目が冷めたら『人間』としての一日が始まる。
それを信じて私はまたウィスキーを飲み目を閉じる…。



携帯のアラームで目が覚める。
あぁ、今日も『乾き』に打ち勝つ事ができた、神様ありがととう。
こんな事を考え、ほくそ笑む。

一人でたいした事ない朝食を食べ、
歯磨きをしながら新聞を眺める…。
メイクをしスーツに着替え、OLの菅野観月として出社する…。
あぁ、今日も無事『人間』としての一日を過ごせる。

神様ありがとう…。



私には両親はいない…。
二人とも私が12歳の時死んだのだ。
ハンターに殺された。
人間とバンパイアとの禁じられた恋愛の結果だ。
両親がどんな風に出会い、どんな風に恋愛をしたのか…。
聞いたのは両親が死んだ後だ。
母の姉…すなわち叔母から聞いた。
私は父からのバンパイアの血と母からの人間の血を受け継ぐハーフ…。

理解できた。
すべてに説明が付いたから…。

何故普通の食事で満ち足りないのか?
何故日光を欝陶しく感じるのか?

私はものごころついた頃から欲求を感じていた…。
一体何かわからない欲求を…。

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