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Wash

[419]  ルイス・サイファー  2009-04-15投稿
おれは兵隊。
しがない兵隊。
デカい組織の偉大な主に支えちゃいるが、ペーペーの下っ端。
だが組織と仕事、主に対しての責任感、熱意、敬意は誰にも負けないと自負している。


そんなおれに、主は直直に任務を与えてくれた。

任務の内容は、ある集団への潜入捜査。

実態を調べ、その行動内容を報告する事。
そして善へと導く事。

喜んで引き受けた。
主直直の命令だ。嬉しくてな。


おれが潜入した集団は、混沌としていた。

善人も悪党も存在し、善くも悪くもあり、またどちらでも無く、どちらにでも傾く可能性を持っていた。

任務を続けていたある日、ある存在との出会いがあった。

それは若く美しい女だった。

心を惹かれ、目を奪われた。

同時におれを苦悩させた。

調査対象と関係を持つ事は御法度。
全てを奪われて追放って制裁が待っている。

組織と任務、主に対する忠誠。

美しい女に対する抑えがたい感情。

おれの魂の天秤は大きく揺れ、そして片方に倒れ落ちた。

おれは女を抱いた。
おれの行動がすぐに組織にバレちまうのも承知で。
おれはその女に夢中になっちまっていた。
やがて子供ができても、後悔はなかった。

そして案の定、組織からの警告が届いた。
使者の親友の言葉に動揺もしたが、もはやおれの魂は後戻りができなかった。


おれは決意した。

おれは女に、全てを打ち明けた。
自分の正体と任務を。
おれの属する組織の禁じられた情報を。
それからその全てを、他の奴等にも伝えるよう話した。

情報を聞いた集団は、変わり始めた。
善と悪の間で揺れていたバランスは、大きく悪へと傾いた。
多くの魂は荒れすさみ、そして世界は悪意と犯罪に溢れちまった。
おれの魂が悪の闇に傾いたのと同様に。


そして制裁の鎚は振り降ろされた。

おれは組織を永久に追放され、闇に叩き堕とされた。
女を含むその集団は殲滅され、おれの子供もその存在ごと消滅された。

全ての悪意と罪は消え去った。

まるで汚れを洗い流すかのように。

見苦しい物を覆い隠し、上辺を綺麗に取り繕うように。



おれの名はアザゼル。
かつては光の軍団の一員だった。

今は邪悪な情報屋。

闇をさすらい、さ迷っている。

かつての主に殺された愛しい魂を今でも想いながら。

どんな闇の情報でも報酬次第で教えてやるぜ。

さあ、
あんたはなにが知りたい?

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