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思い出の足跡(34)

[583]  優風  2009-04-20投稿
時刻は夜中の十二時を過ぎていた。車内では相変わらず“ルーハ”の“雪蛍”がかかっていた。

「このバンドの人達いくつ位なのかな?」
「あたし達とそんなに変わらないんじゃない?」
「二十四歳とかでこうやってバンド組んでいい歌を世に送り出すっていうのがすごいよね」
「音楽には国境がないって言うしね」
「音楽との出会いも人との出会いも一緒だよね」
「一緒って?」

美香が意味が分からないと言った面持ちで首を傾げる。
「曲が外見で歌詞が中身って意味で言ったんだよ」
「あぁ、そう言う事ね」
「理解してくれた?」
「ご心配なく十分理解できました。でもやっぱ“ルーハ”は最高だよ。歌詞も曲もとってもいいし」

「うん、ボーカルの歌声も透明感があってしっかりしてるしまた曲もいい。それに歌詞がやっぱ綺麗だよ。なんて言ったらいいかわかんないけど言葉の表現がなんか暖かい感じがする!」
「うん、あたしもそう思う」
「気が合うね」

僕達は顔を見合わせて笑った。

「でも、なんか悔しいなぁ」「何が?」
「こっちは地味な仕事をしてるけど向こうはステージで派手に歌って金をもらって飯くってるんだもんなぁ」
「それはひがみ?」

美香が意地悪っぽく微笑んで聞いてきた。

「うん、半分はひがみ。後、半分は憧れかな」
「憧れか。今年で二十六歳だよね?なんか楽器とか出来るの?」
「ギター持ってるけど全然弾けなくて上達しないもんだからそのまま放り投げて部屋でインテリア化してる」
「インテリア化って、意味ないじゃん。弾かなきゃ」
「昔からリズム感ないんだよなぁ。小学校の頃から音楽の成績は悪かったよ」

自慢じゃないが大がつく程音痴で初めて僕とカラオケに行った人は必ず笑う。

「それから、俺、今年で二十五歳だよ」
「えっ、二つ上でしょ!?」「早生まれなんだ。今月の二十四日に誕生日を迎えたんだ。美香は何月生まれ?」

僕が聞くと“来月の七日が誕生日”と言った。それから、“貴士君二十五歳の誕生日おめでとう!”と言ってくれた。
「どういたしまして。それと話し戻るけど名前がセンスいいよね」
「“The root hearty“の意味知ってる?」
「ルーツは原因だろ?ハーティーはなんだろ、分かんないな」

苦笑いをして僕は返答した。

「心から応援するって意味なの」
「心から応援するか。悪くないね」

美香の影響があった事もあったが名前の意味を知ってより一層僕は“ルーハ”を好きになった。

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