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永遠の物語【5】

[412]  夏姫  2009-04-27投稿
「おい、クリス。そんなに中身が知りたいのかよ」

ユアンは苦笑いを浮かべながら、隣の親友を見る。

「だってさ、気になるじゃん。もしも国家機密のシロモノだったら、王様に感謝されて、一生王宮暮らしとか!夢が膨らむよな〜」

一人で妄想を展開するクリスを横目に、ユアンは今日で何度目かになるため息をついた。

「それで、…いかが致しましょうか」

「とりあえず開いてみるか。…いいんだな?クリスのいうような物であれば、巻き込まれる可能性は高いぞ。近隣諸国は、喉から手が出るほど欲しがるだろうから」

村長の言葉に、二人は無言で同意を示した。

「…分かった。では、見てみようか」

そう言った途端、クリスの眼が輝くのをユアンは見た。

「……。これは…!!」

「何だよ!もったいぷってないで早く教えろよ!」

「クリス!!」

ユアンは慌ててクリスを止めた。

しかし、村長は二人のやりとりすら聞いていない様子だった。

「お前達…。大変な物を拾ってきたようだな」

村長は驚きと恐怖の混ざった表情を浮かべた。

「…どういうことです?」

ユアンは慎重に尋ねた。

「これはな、最早国家機密とかいうレベルのものではない。この世に住んでいる全生命の未来がかかっているものだ」

クリスは両目を大きく見開いた。

「…何が書かれているんです」

ユアンがそう尋ねると、村長は緊張の面持ちで続けた。

「これは、極秘文章だ。しかも、魔法がかかっている」

「魔法…」

二人は続きを待った。

「簡単に教えるとしよう。 この中には、こうあった。
『…月が満ちる夜、人々の想いを糧とし、暗黒の王が蘇る。危機救いたくば、汝汚れなき魂のもと、平和を願うべし。さもなくば、世の破滅を見るであろう』
…わしらは、見てしまった以上、無関係ではおれぬ。この文章を一刻も早くお届けするのだ」

室内は静寂に包まれた。

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