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孤(こ) 九

[495]  彰子  2009-04-30投稿
こちらを向いたそれは、  ″ビチョッ ビチョッ″と嫌な音をたてていた。

それが動く度、自分の身体から流れ出たものだと、自覚させられる様に、神経がピクピクし激痛が全身に流れる。

恐怖と激痛に倒れそうになりながら何とか耐えて立っていた
〔できる事なら今すぐ、 ここから飛び出し、誰かに助けてもらいたい…〕

が、部屋には鍵が付けられ、自分ではどうしようもない。監視カメラは…?色んな思いが頭をよぎるが…
…それは見透かした様に、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら

 「ココカラ 出ラレナイヨ」
 と、じわじわ寄ってくる
 「サァ カクレンボ シヨウヨ… 僕ガ オニダヨ」

 美里は逆ってはいけない気がし、ガタガタ震える身体をやっとの思いで少しずつ動き始めた。
〔ここで隠れられる場所は布団の中か、ベッドの下〕
 美里はベッドの上の布団に上がれる自信が無かったので、ベッドの下に潜る事にし、やっとの思いで、そこへたどり着いた。

 「モゥ イイカイ?」 
美里は恐怖を押さえながら声を絞り出し「… も ぅ  い い …よ  」  と、なんとか答えた。         
 赤いそれは、しばらく 不気味な音をたて、歩いていた様子だったが、音はしなくなっていた。

 〔これは何かの錯覚、……そう、やはり自分は神経の病気なんだ〕と何度も自分に言い聞かせた。
 そんな事を心の中で必死で思いながら、しばらく恐怖からガタガタ震えていた美里だったが、静かになった気配で少しずつ自分を取り戻しつつあった。



 その時ベッドの上から赤いそれはじわりと頭を垂れ、目が合った瞬間!

 「…見ィツケタ!!」  と、ニヤッと笑った

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