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セピアカラー(54)

[931]  優風  2009-04-30投稿
・美香の言葉を受けて僕は戸惑い、すぐに言葉が出なかった。お互い食事の手を止めて真剣に見つめ合った。

「それは本当なの?」

やっと見つけた僕の言葉に力強く顔を縦に振った。

・美香の話しによると僕と付き合う以前から非通知で電話があったり中傷めいたメールが時々届く事があったらしい。後、帰り際時々誰かに付けられてる感じを覚えた事もあって危険を感じ防犯ブザーは入手したようだ。それから、生憎非通知の場合は拒否設定してある事から着信音が鳴る事はないが不在着信の非通知を見ていい気分はしないだろう。また、ここ二日程は三回公衆電話から無言電話があった事や昨日、帰宅して郵便受けを見てみると洗濯物を干してる美香の写真が数枚と多量に使用済みのコンドームが入っていたらしい。
「まだ警察に言ってないならまず、警察に被害届けを出そう」
「やっぱり警察に言った方がいいよね」

美香も納得したように不安な面持ちのまま頷いた。

「それから番号とメアドもすぐに変えるべきだよ」
「番号もメアドも前に変えたけど結果は何も変わらなかったよ」
「って事は美香の知り合いって線が考えられるね。誰か思い当たる人はいない?」

僕が問うと少し首を傾げてから“分からない”と顔を横に振った。その後、

「もしかしたらお客さんかなぁ」

と、宙を見ながらポツリと言った。

「お客さんって?」
「男性のお客さんも度々訪れる事があるんだ。彼女や奥さんにプレゼントで買いに来る人がいるの。でも、二月頃かな。少し図体が大きくて髪が長くてメガネをかけたいかにもオタクですって人が来て、服の名前や素材、コーディネートの仕方等詳しく聞いて来る人がいたの」
「今、その人は店に姿を見せる事はないの?」
「三月に入ってからは一度も来てないと思う」
「うーん、その人じゃないとも絶対言い切れないし、また別口かもしれないし分かんないな。個人情報って年間で五万件以上が漏洩されてるらしいからね」

僕が腕組みをしてそう言うと、美香は一つため息をついてから、

「もう考えるのが嫌になっちゃう。誰かを疑うのも嫌だし、考えても疲れるだけって分かってても自然と考えちゃうし」

深刻を思わす言い方をしてまたため息をこぼした。

「言っとくけど俺じゃないよ」

そう言うと、

「分かってるわよ」

と、美香は笑いながら軽く僕の腕を叩いた。

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