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君からの手紙 ?

[514]  YOSI  2009-05-01投稿
「由美は…知ってたんですか?自分の病名を」
「体調を崩してから、検査して、私だけ病院の先生に呼ばれたんですが…」
「由美に知られたんですか?」
「そうです。聞かれてたんです…」
おそらく、知った時の由美のショックは、相当だっただろう…だが、勇一の前では、そんな素振りは、一切見せなかった。
それだけに、明るい彼女を見ることが多かった勇一には、残念でならない。
「残念です。きっと、由美の病気を知ってたとしても、僕は彼女を支えたかったです」
「そうでしょうね。由美は、いつも言ってました。つらい時や、寂しい時、あなたの優しさに励まされてたと…」
嶋野の、その言葉を聞いて、勇一には、もう一つの疑問があった。
それは…
なぜ、15年もの間、自分は何も知ることが出来なかったのか? なぜ、15年も経ってから、嶋野は、その事実を伝えに来たのか…
付き合っていた時は、兄と2人暮らしとゆうことは、知っていたが、生まれや育ちのことは、あえて聞いてなかった。
だから、姿を消した日に、探すあてもなかった。
もちろん、高校時代は、人並みに恋もして、失恋もした。
だが、由美は、勇一にとって、特別な存在だった。
だからこそ、勇一は、恋愛に対して、心を閉ざしていた。
その疑問を、是非とも聞きたい。
勇一は迷わず聞いてみた。
「あの……嶋野さん」
「はい」
「なぜ、いや、怒らないでくださいね。なぜ、15年もたった、この時に伝えにいらっしゃったのですか?」
やりとりを聞いていた、正と佐野も、同じ気持ちだった。
「すみません」と言いながら、嶋野は、再び頭を下げた。
「そうですよね。
僕があなたの立場なら、同じ質問をしたと思います。ただ…こうしてくれと、妹に頼まれたんです。それが、由美の最後の願いでした…」
「最後の願い…ですか?由美の」
「ええ…本当は何度も、この何年間、訪ねようとしましたけど、その度に、由美の悲しそうな顔が浮かんで、行けなかった…」
「そうですか…。わかりました」と言ってみたものの、心は、晴れない。
そして嶋野は、懐から、一つの封筒を取り出した。

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