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ギャラクシーラリー57

[367]  フェイ  2009-05-01投稿
「カンちゃんの質問に答えると吉原さんの質問の答えになる」遼一が言った。

「文学と武道って、正反対に思えるけど…だって、スポーツマンって勉強とかダメそうじゃん」桃子が珍しく考え込む。

美穂も必死に考えた。遼一の精神に触れたかった。彼は何を見て、何を感じたのだろうか?

「ん…。これは、あくまで、俺の私見だからね」遼一は優しく言った。助手席の美穂とバックミラーの桃子を見る。

「両者の究極形は、宇宙との一体化」遼一が答えを言った。

「うわぁ…。何それ!宗教みたい」桃子は口にしてから、ハッと気が付いた。

「ね、同じだろ?科学も神様も俺に言わせりゃ、変わりないもんさ。北海道に行くのに、飛行機で行くか、電車で行くか、くらいの違いしかない。歩いて行ってもいいんだ。」

美穂は遼一を見詰める。
その考え方なら、オタクでもオシャレでも究極になれば同じか…。だから、遼一さんは、ワタシみたいな女でも美人の桃子と同じに見てたのね…。真っ直ぐ…ずっと先を…。

「んで、読んだ本の中でも宗教関係って、面倒くさいけど面白かったよ。その関連でお祓いとかも分かるようになったってわけ」遼一が、あっさりと言った。

「本で読んだだけなの?それで、お祓い出来るの?」桃子が聞いた。

「出来るよ。本質を理解してるから…。システムをね」遼一は、缶のコーラを飲んで言った。

「証拠を見せて」桃子が真剣に言った。

「そんなに幽霊とか苦手なの?」美穂は後部座席を振り返って桃子を見た。

遼一が突然、低く大きめの声を出した。「オン!」

桃子と美穂は、一瞬ビクッとする。

遼一は、構わず続けた。
「…キリキリ、バサラ、バサリ、ブリツ、マンダ、マンダ、ウンハッタ!」

「今の…何?」桃子が恐る恐る聞いた。

「この車に結界を張った。如何なる悪霊も、この車には近づけない。絶対にだ」
遼一の低く透明な声が響き、静寂が訪れた。

確かに、冬の神社の境内のような凛とした感じがする、と美穂は思った。気のせいだろうか?

「分かった…ありがとう。他にも色々出来るんでしょう?」桃子が言った。

自分が感じたものと同じものを桃子も感じたのだろうか?と美穂は思った。

「うん。出来るよ。大きな声出してごめんね」いつもの優しい声に戻って遼一が言った。

「あぁ、安心したぁ…。アタシ霊とかダメなのよ。超嬉しいんだけど!遼一さんサイコー!」桃子が叫んだ。

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