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神の丘〜歩み〜?

[559]  佐奈  2009-05-04投稿
二発の乾いた音が響く。銃弾はマーカスの足元に二発。

「ひぃぃぃ〜!!」

マーカスは驚き、グレイに向かって走った。

「たっ‥助けてくれ!あんた警察だろ!」

錯乱状態のマーカスは、グレイの腕にしがみついた。

「放せ!!」

憂牙は、その状況を狙っていたかのように、微笑を浮かべ、すぐ横にあるナイトテーブル上のマリア象を手にした。

「マリア象は頂いていく」

「・・・!」

次の瞬間、憂牙は、ベッドの上にかけられてあるベッドフットスローに手を伸ばし、頭からかぶった。そして、後ろの窓に向け、数発、発砲した。


ガシャーン!!


窓ガラスの割れる音と同時に、気圧の変化による風圧が、部屋全体に流れ込む。

「うっ‥!」

「ひぃぃ‥!!」

割れた窓ガラスの破片が、細かい凶器となって、グレイとマーカスに向かって襲い掛かる。

視界を奪われたグレイの横を風が通り過ぎる。

「ゆっ‥憂牙!」

マーカスを振り切り、グレイは憂牙の後を追った。

スイートルームの出口、内開きの扉の前には、ボディーガードが一人横たわっていた。

「・・チッ!」

横たわるボディーガードを足でどかし、扉を開け、エレベーターホールへ向かった。

最上階専用の一つしかないエレベーターの扉が閉まりかける。向かってくるグレイに憂牙は言った。

「ボディーガードを始末してくれて感謝するよ、グレイ」

「憂牙!!」

吸い込まれるような赤い瞳。憂牙の微笑む顔がエレベーターの扉によりさえぎられた。

グレイは、閉まりきった扉に向かい両手を強く叩き付け、うなだれた。

グレイの両腕は、ガラスで出来た無数の擦り傷により赤い血が流れていた。

つづく

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