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猫物語その1(改)

[560]  α  2009-05-19投稿
 その昔、竹をとるならこの人ありと謳われたお爺さんがいました。仮に竹内さんと致しましょう。
 竹内さんは今日も竹を取りに山へ入ります。
 するとどうしたことでしょう。
 竹だらけの中に一本光り輝く竹があるではありませんか。
 あやしがりて竹内さんが、やぶをかき分けそばへ近づき良く見てみると、何と以前切り取った竹の節の中に 一匹の子猫がグッタリとしてはまり込んでいます。
 この子猫の見開かれた瞳孔が 早朝の薄暗い竹林の明かりを目一杯に取り込み網膜にあるタペータムという反射板によって 光を増幅発光していたのを 竹内さんは目ざとく発見したのでした。
 子猫は夜露に濡れ、か細く震えています。
 憐れに思った竹内さんは、仕事そっちのけで子猫を手の平に包むように抱えこんで自分の寝起きをするあずまやに急いで帰りました。

 きたきり雀の竹内さんは、自分の懐に子猫を入れて温めます。
 山であまりにも騒々しく鳴き喚いていた雉を撃ち殺して作った干し肉を、囲炉裏で茹でて柔らかくして少しづつ割いて子猫に与えると、若さあふれる生命力に因るためか、すぐに回復の兆しが見え始めました。
 そう、竹内さんの愛は爪つきねこぱんちによってあがなわれたのです。
 半泣きになりつつも竹内さんが冷静に子猫をなだようと努めると、子猫も段々に状況を把握したのか脱力してメソメソと泣き始めます。
 憐憫と慈愛を抱いた竹内さんは、子猫に いったい何故ああして竹の節にはまることになったのかと 訳を尋ねました。
 問われた子猫はしおしおとまだ短く細いひげを垂らして自分の苦しい身の上を語り始めるのでした。

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