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猫物語その4(改)

[489]  α  2009-05-19投稿
 さて、竹内さんと暮らすことになった子猫は、昼は竹内さんと竹林へ出かけて 竹内さんが竹を採るのをじっと見つめ、夜は煎餅布団に横たわる竹内さんの懐に潜り込んで すやすやと眠る 今までの猫生のうちでかつてこれほどまでも安らいだことはないと思うほど穏やかな日々を送っていたのですが、なかなか上手く鼠を捕れるように なれません。
 子猫は竹内さんに申し訳なく思ってひそかに鍛練を積むのですが 思うようには上達できず 我が身を情けなく思って落ち込んでしまいます。
 そんな子猫の心情を竹内さんも思いやって 手仕事の合間に小蝶や小蛙に躍りかかる子猫を目を細めて見守ったり、手頃なエノコロ草を摘んできては、ちょっと一緒に遊ばないかと子猫を誘ってはじゃらして 素早い動きの鍛練になることを願うのでした。

 そうした努力のかいあって、子猫は野生生活の経験のまだ浅い、若い雀などの小鳥ならば捕らえられるようになってきたのです。
 どうやら子猫はネコよりもトコとしての素質に勝れていたようですが、なんにせよ自信がついてきたようだと竹内さんはほっとして喜ばしく思うのでした。

 しかし、そうした穏やかな日々は長くは続いてくれないのです。

 ある日捕らえた子雀に、見逃してくれたら良いことを教えて差し上げます。と、命請いをされました。
 お前が言う通り有益な情報ならば放してやろう。と、子猫は答えます。

 実はここより三里ほど東に流れ者の笛吹が滞在しておりまして、その笛吹 なんと自らの奏でる笛の音で鼠を呼び集めてしまうことができるそうなのです。
 と、申します。

 にゃに?それは本当か!
 と、子猫は勢い余って叫んでいました。子雀は嘴の端をニヤリと吊り上げて笑います。

 ええ、ええ、本当ですとも。この物騒な爪を引っ込めてふかふかした手をどかしてくれたら、もっと詳しいことをお教えしましょう。

 と、子雀が余裕ぶって言うので子猫はなんとも面白くなく、約束通り一度は放したものの子雀が近くの小枝に飛び移ろうとする、その尾っぽをニクキユで捕らえなおして子雀に申します。

 さあ約束通り放してやったぞ。詳しくその笛吹の居場所を白状するんにゃ!

 お待ちください、そこなお方!

 頭上からの声に仰ぎ見ると一羽の中年雀が青ざめて飛んで来るではありませんか。

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