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猫物語その10(改)

[462]  α  2009-05-19投稿
 あわあわがたがた

 という形容があてはまるほど 蛙たちは色を失って震え、口から泡を吹きかねません。

 あの、食べるつもりはにゃいですから...ってきいてるにゃ?

 ひー!きいております、おりますとも!

 まて!一の蛙よ、もっと落ち着け!
 見ればまだ子供。蛙といえども海千山千の我々とて 捨てたものではないはず。まだ勝機はある。弱みを見せるな。

 それもそうだな二の蛙。さすがは お前だ頼りになる。

 お前に頼られたくなど さらさらないが ともかく猫をなんとかしよう。

 うむ。

 という一部始終を子猫の美しく高性能な二等辺三角形の耳は委細漏らさず聞き取っていたので、蛙たちが うっすらした微笑みを浮かべて振り返ったときには何が起きるのかと薄気味悪く身構えましたが、蛙は自分たちの茶菓子を子猫に差し出し こう申したのでした。

 これはこれは お猫さま。遠路はるばる ようこそおいで下さいました。
 わたくし蛙にございます。

 みたままのようですが...

 子猫があっけにとられるのにも お構いなしに二の蛙も続きます。

 えーおっほん こちらはわたくし 蛙にございます。

 だからみたまま...

 何を隠そう この煎餅!実はどんな病もたちどころに癒すという優れもの!

 そうです、なんとも貴重な この煎餅!

 どうぞどうぞ、お猫さまに。

 遠路はるばる おこしになった記念にお受け取り下さいませ〜

 と蛙たちは蛙サイズの木箱ごと煎餅を子猫に差し出したのでした。

 ...そんな機能のある貴重な食べ物 何でおやつに食べてるんですにゃ?
 それにわたしはご覧のとおりの猫ですにゃ、炭水化物は食べられません。消化酵素が備わっていにゃいのです。

 子猫は胡散臭げに煎餅と蛙たちを見おろしました。

 なんとお猫さまは慎み深い!
 ですが お犬さまは喜んで召し上がって下さいました。

 そうですとも!この煎餅は みながこぞって欲しがる貴重な品なのですよ!

 犬さんは一万年ほど人間たちと食生活を共にしてきたから雑食に適応してるんです。パンダだって食肉目にゃのに草食べて生きてるじゃにゃいですか。けど猫は基本肉しか食べられませんにゃ、そんなあやしげにゃものいりません。

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