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ドリームガール(妄想少女)5

[542]  カプチーノ  2009-05-19投稿
ぱっと見ただけでは散らかったデスク………だけどこれはこの学校の縮図のようなもの。
魔法使いは火のないところから煙りを起こす。
吐き出す煙りは空気中に広がることなくデスクのうえで漂いその呼吸ごとに濃度を増していった。


コロコロと転がるパチンコ玉………これは「対象」を意味する。つまりはらんちゃんだ。


魔法とはいくつか種類がある……これは「裏」に値する。
この類のものは気付かれずに自分の状況をより優位にするというもの………。
だから仮にパチンコ玉に触れて無理に行き先を変えようとした瞬間に魔法は解けてしまう……。


だから保健室に来るのを「阻む」ことは出来ない。
「阻む」は「当たる」と同義なのだから気付かれてしまう。


ならどうする………。

「逸らす」のだ。

「保健室に行く」というエネルギーを「他の何か」に置き換える……。


ミニ四駆で遊んだことはあるだろうか?あれによく似ている。

「直進する」をコースを使うことで「回る」に置き換えるのだ。


そこまで思考が巡ったのと同時に魔法使いはかざしていた手を降ろした。

「ふぅ……。」
「成功ですか??」
「100じゃない……89ぐらいだ」
「心配する………が動機だったからな。そのまま家に見舞いに行かせた。」

少し疲れたのだろう……。怒るのを忘れているようだ……。

私はこうなったときにはじめて彼女の名を呼ぶ。
「カエデさん……大丈夫ですか??」
眼鏡を外しベッドに寄り掛かろうとするカエデさんに心から心配してそう言った。

「こうなっては魔法使いも終わりよね……。」本当に別人のように話し方まで変わってしまう。
「マイ……よく聞いてね………もぅ魔法じゃ時間稼ぎは出来ないの……。」
「じゃあ……。」
「そう………。あなたのことをランちゃんに……いえ…鍵に話さなければならないわ。」


私にはそれが死の宣告にしか聞こえなかった………。

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