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奈央と出会えたから。<361>

[545]  麻呂  2009-05-20投稿

* * * * * *

『奈央!!大丈夫?!職員室へ行ったら、ここだって言うから‥‥。』



あたしが職員室で過呼吸の発作を起こしたと聞いて、



真っ先に保健室に駆け付けてくれたのは、ユカだった。



『あら、秋田谷さん。木下さんなら心配いらないわよ。』



あたしの様子を見てくれていた篠原先生は、



息せき切って入って来たユカにそう言うと、



ベッドサイドに置かれた椅子から、ゆっくりと立ち上がった。



そして、



篠原先生の向かい側のベッドサイドに椅子を置き、腰を掛けていた聖人は、



ユカの姿を見ると、


あたし達2人が退室した後の職員室の様子を、真っ先に聞き出した。



『秋田谷。森宮のオヤジと校長、渋川は、まだ職員室にいるんだろ?!』



聖人の言葉にユカは、一瞬の間を置き、


何か、吹っ切れた様な顔で、こう言ったんだ。



『‥‥さぁね。

あ‥あたし、ヒロキのお父さんに全部言っちゃった。』



ベッドの上で横になっていたあたしは、


さっきから、うとうとしながらユカと聖人の会話を聞いていたケド、



今のユカの言葉で、すっかり目が覚めてしまった。



『全部言ったって、何を?!』



聖人は、すかさずユカにそう聞いた。



『だから、ヒロキが3年の女子に、クサの栽培をやらせてたコトと、

不特定多数の女子と関係を持っているコトとか――』



勢いよく、そう答えたユカは、側にいる篠原先生の存在を忘れていたらしい。



でも、篠原先生は、そんな2人のやりとりを、



わざと気付かない振りをしてくれていた。



『マ‥‥マジで?!』



意外なユカの行動に、



さすがの聖人もビックリした様で、



切れ長の目を、大きくまん丸に見開きながら、そう言った。


『だって、奈央の性格からして、きっと、ヒロキのコトを、そこまで話してないと思ったから。

ヒロキのお父さんと、校長、渋川の3人揃ってオロオロしてたわよ。』



『すげぇ‥‥。てか、よく言ったゼ‥‥。』



『それでさ、最後にあたし、ヒロキの顔を思いっきりビンタしてやったわよ!!
あ〜スッキリしたぁ〜!!』

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