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猫物語その15(改)

[540]  α  2009-05-20投稿
 こちらこそ何もできずに申し訳にゃいにゃ。

 彼らが災難に見舞われたのは誰のせいでもありません。
 何もできなくても幼くては仕方ありません。むしろ幼な子に何か重責を押し付けようとする者があるなら、その者こそ地に額を擦り着けて世界中の全てに謝罪し続けるべきです。
 けれど子猫は本心から申し訳ないと思って謝るのでした。

 いや猫殿よ。謝ってもらいたい訳ではないのだ。気を悪くなさらんでくれ。

 それが今のザリガニに言える言葉の全てでしたが、子猫には自分の発言は何の意味もないのだと思われてなりません。
 それもまた事実でしたが自身の無力を実感するのは幼くても身に滲みます。

 本当に申し訳にゃいにゃ。ここへ来る前に聞いた蛙たちの魚が降ってきたという話が気ににゃってしまったのにゃ...。

 偶然、遭遇しただけとはいえ 不必要な好奇心でむやみに留まり ザリガニの僅かな平穏を乱してしまったことを子猫は気に病んでいるのでしょうか。すっかりヒゲと耳がしょぼんとしています。
 しかしザリガニは子猫の反省には気を留めず、ある単語に著しい反応を示しました。

 なに!そなた今 蛙が話していたと申したか?

 は、はいにゃ。そうですにゃ。

 子猫はザリガニの急な勢いの変調にうろたえました。

 では蛙どもは 何か食べてはおらなんだか?お茶受けのような...

 なんとも怖いようなザリガニの気配を子猫の鋭敏なヒゲは感知しましたが、同時に子猫の美しい目は ザリガニが発する 海で遭難した者が雲間から不意にさした僅かな光明に意味もなく抱いてしまう はかないどうしようもない希望の姿を見たのでした。

 はい、その、お煎餅を...

 是非!その蛙がいた場所をみどもに教えて下され!

 ザリガニが勢いこんで頼みます。

 蛙はその煎餅は病を癒やすと言ってましたが、本当にゃんですにゃ?

 みどもはそうきいておる。分けてくれるよう頼んで参りたいのだ、是非。

 今にも駆け出しそうなザリガニの様子に戸惑いながらも子猫はザリガニを救う手助けができるかもしれないという思いにかられて、つい申してしまいます。

 そのお煎餅、蛙からもらったのを今持ってますにゃ。

 なんと!あるならどうか少しでいい、みどもに分けて下さらぬか。

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