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猫物語その18(改)

[510]  α  2009-05-21投稿
 風呂敷の端についた例の小さな鈴に気付いてザリガニが、今はこんなことくらいしかできず申しわけないが...。と鋏でひきちぎってくれたので首にまとわり付く風呂敷はともかく鈴からは解放されたと思った子猫は安堵して、急ぎ町へ向かって再び駆け出したのでした。
 周囲には魚が散在し、それらをめぐって激しい闘争が繰り広げられています。
 子猫は 到底敵いそうもない荒くれ者たちの合間を かい潜って街道をゆくのですが 枝に引っ掛かった魚が風に揺らされ落下する、そのちょうど真下を通ったものだから たまりません。
 地上の争いに遅れをとっていた準猛者達が子猫目掛けて、正確には子猫のいる 魚の予測落下地点 目掛けて殺到したのです。これぞまさしく猫まっしぐら!
 子猫は成す術もなく踏みしだかれ、あわや猫ゴミの中へと飲み込まれかけたその時、ひとつの影が閃いたのでした。

 その影の主は しなやかな痩身を空宙へ伸びやかせると落下する魚を口で鮮やかに捕らえ 美しくスマートな仕草で着地します。
 周囲からは感嘆の呻きや 上手く猫々を出し抜いたことへの そねみの舌打ちが 漏れ聞こえてきます。

 群衆を振り返ったその猫の目は、鋭く炯々と光を放っているのでした。

 かっ、カッコイイ?

 子猫は結果的に自分を救う事となった猫の後ろ姿を見送り、淡い憧憬を 小さな胸に抱きます。
 自分も あんな風に強くなって鼠を たくさん捕ってお爺さんさんに喜んでもらいたいにゃ。ザリガニさんを救うことができたのは本当に ただの幸運にゃったけれど、いつか自分の力で できることがたくさんあるおとな猫に にゃりたいにゃ。と、新たな希望が身の内に芽生えるのを感じながら子猫は町へ入ったのでした。

 出来の良い方の子雀の話では件の笛吹はひとところには落ち着かず 日中は飲み屋などを ふらふらと渡り歩いているそうで、見つけるのは困難であろう上に まともな猫とは思い難く、子猫は昼のうちに見つけられにゃいかもしれにゃいにゃ、と不安に思うのでしたが、この際 笛吹の精神性に 注文をつけるつもりは子猫にありません。
 目的は笛吹自身よりも笛吹の能力を動員することにあるからです。
 しかし能力を活用するのは笛吹の意思にかかっているということを失念している子猫に はたして笛吹の協力を得ることができるのでしょうか。

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